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「アリィお姉様お帰りなさい!」

「トゥーエただいま。疲れは取れた?」


 屋敷の玄関に入ると階段を降りて来たトゥーエに声をかけられた。


「お帰りアリィ」


 なぜかその後ろにジョージ様も居て・・


「ただいま・・です。ジョージ様は今日もお父様への御用でいらしたのですか?」

「いや今日は・・昨夜トゥーエが変な男に絡まれてね!心配だから様子を見に来たんだ」

「・・そう、ですか・・」


 いかにも正当な事を言ってるようだけど・・貴方は誰の婚約者ですか?


 と、心の中で叫ぶが絶対に口からは出しません!

 私の冷やかな視線も気にせずトゥーエを気にかけるジョージ様を横目に、私は自分の部屋へと向かう。


「アリィ様、お帰りなさいませ」


 部屋へ入るとマギィが出迎えてくれる。仕事着から部屋着へと着替えると


「お姉様のお部屋へ伺うわ」


 マギィは頭を下げると部屋から出て行く。姉妹と言えど勝手に部屋へ行く事は出来ないため、お姉様へお伺いをたてに向かったのだろう。

 部屋の窓から外を見れば庭へ散歩に出たトゥーエの、まるで従僕のように付き従うジョージ様を先ほどよりも冷めた目で見てしまった。


「お父様もこの姿を見れば私では無くトゥーエを後継にすると言うのでは?」

「本気であの子が当主になれると思っているの?」

「お姉様」


 てっきり部屋へ行くと思っていたのに、お姉様から来るなんて・・

 お姉様は黙って私の横まで来ると一緒に窓の外を眺める。


「でも、ジョージ様は私よりもトゥーエの事を・・」

「それでもダメよ。ジョージ様が真剣に当主の仕事を覚えなければトゥーエとは結婚させられないわ」


 お姉様は頭を横に振るとソファーへと腰をおろした。私も後ろに続きソファーに腰掛ける。


「貴女の気持ちも分からないでも無いけれど・・あの二人が我が領地を守れると?」

「・・・ムリ、ですね」


 私の答えにお姉様は満足そうに微笑んだ。お姉様はマギィの淹れたお茶を一口飲むと


「貴女はこの家を継ぎたい?継ぎたくない?」

「え?」


 そんな事を考えた事もなかった。


「三姉妹の真ん中は使い道が無いから家を継がせる。」


 ある日お父様が話していたのを聞いた時、何故かすんなり受け入れられた。

 家族だけで無く、周りも自分をそんな目で見ている事に納得してしまい、お父様が連れて来たジョージ様を受け入れた。

 

 子爵家の三男のジョージ様は婿入りしなければ平民となる。ジョージ様も受け入れるしか無かった婚約だった。


 私を見るお姉様の目が何かを訴えてくる。でも・・


「そんな事を考える暇なんて・・ありません。お姉様とトゥーエは家の為に嫁ぐ。私が家の為になる事と言えばジョージ様と結婚し、この家を継ぐことだから・・」


 お姉様の目を見ることが出来ない私は俯き、自分の手を見る。

 ハァッ、とため息が聞こえた。


「なぜお父様が貴女をこの家に繋ぎ止めるのか、本当の理由を知ってる?」

「えっ・・?だから・・」


 理由?

 私を繋ぎ止める?

 何を言ったのか意味わかんない。


「アリィは自己肯定感が低すぎるわね・・」


 と、お姉様はつぶやいた。

 私はお姉様の言葉を反芻するも全く理解出来なかった。


「それよりも、わたくしに話があったのでしょう?」


お姉様に言われ本来の目的を思い出した私は、今日一日考えていた事を聞く事にした。




 

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