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三姉妹の真ん中令嬢は幸せになれないの?  作者: おつかれナス


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38 二度目のプロポーズ

「アリィお嬢様、グラビティ侯子様がお迎えに来られました」

「ありがとう、今行きます」


 昨日、マーレン様から我が屋敷に迎えに行くと手紙をもらってから、胸がざわついて夜も眠れなかった。

 ジョージ様の事は婚約して初めの頃はウキウキしたが、それも直ぐに消えた。

 理由は彼が私ではなくトゥーエの側に行ったから・・もともとヘルン子爵からの申し出に、お父様が断れなかった事が婚約した理由だったけれど・・


「お父様お母様、行って参ります」

「ああアリィ、気を付けて行っておいで」


 玄関ホールに行くとお父様とお母様がマーレン様と話しをしていた。

 二人に挨拶をし、マーレン様とレッド様の前へ行くと二人はいつも通りの顔で私を出迎えてくれた。


「アリィ嬢おはようございます。体調はどうですか?無理はしないでくださいね」

「おはようございますレッド様。体調は問題なく!今日はよろしくお願いします」


 笑顔で挨拶をすれば、レッド様も笑顔で返してくれる。


「マーレン様、おはようございます。今朝は屋敷にまで来て頂きありがとうございました」

「いや、君の体調も気になったからな。元気そうで安心したよ。では行こうか」


 お父様とお母様に挨拶をするとマーレン様たちと馬車へと乗り込んだ。

 馬車の中ではなぜかマーレン様と二人きりになっていて・・心が落ち着かない。

 なぜ私の胸が痛むのだろう・・

 いつからこんな気持ちになっていたのだろう。

 マーレン様の顔を見たいのに見られない。

 同じ空間に二人でいるのに触れられないもどかしさ。

 マーレン様に対していたから私、こんな気持ちを抱いていたのかな?

 マーレン様を見ると窓から外を眺めている。

 その顔が遠い昔、貧民街に紛れ込んだ貴族の男の子に似ていた。

 名前も知らない、でも身なりからして高位貴族の子息を助けら際に手を繋いだ。

 初めて男の子と手を繋いだからドキドキしたけれど、繋いだ手からは震えと汗で彼がどれだけ怖かったのかが伝わってきた。


(もしかしたら私の初恋だったのかも知れないわね)


 名も知らない男の子。

 知り合いに会えた瞬間に見せた笑顔・・


「どうした?アリィ、俺の顔をそんなに見つめて」


 気付けばマーレン様が私を見ていた。


「す、すみません」


 慌てて顔を下に向ける。

 するとそっとマーレン様の手が私の手に触れた。

 私は顔を上げるとマーレン様が微笑みながら私を見ていた。


「今日は午前中視察へ行か事になった。王宮へは昼からになるが良かったか?」

「私なんかがご一緒して良かったのですか?」

「むしろ君がいないと困るんだ」

「・・承知、しました」


 マーレン様の声があまりにも優しくて、私の心臓が痛くて苦しくてどうなっちゃったのだろう?と心配になったけど、その理由が直ぐにわかってしまった。


 目を合わせたいのに合わせられない。

 顔を見たいのに恥ずかしくて見られない。

 マーレン様の事を考えるだけで、心臓が痛くなる。

 会いたいのに会えない日は、心がざわついて落ち着かない。


 この気持ちの正体は・・



「君に見せたい場所があったんだ。気を付けて」


 そう言って馬車から降りながら私の手を取るマーレン様の手は、心なしか震えていた。

 馬車を降りると目の前には花が一面に咲き乱れていた。

 見渡す限り赤や白、黄色やピンク色の花、花、花が風に揺られており、その花の香りも甘く気持ち良かった。


「すごいです!少し王都から離れただけなのに、こんなに素敵な場所があるんですね!」

「気に入ってくれたかい?」

「はい!」


 風に揺られ花同士が触れる音がする。

 私は目を瞑り耳から花の音を静かに聞く。


「君に話す事があるんだ」


 私はマーレン様の言葉に目的を思い出し、身体の向きを変える。


「その前に確認したい事があるんだが・・君の婚約者の名を教えてくれないか?」


 私は自分が思っていた事と違う質問をされた事に驚いた。

 なぜなら私を常に孤立させていた婚約者。

 私よりもトゥーエを優先していた婚約者。


「なぜそのような事を聞かれるのですか?」


 私はスカートを握り締めながら、顔を背ける。


「この後の話をするのに必要なんだ」

「・・・ジョージ、ジョージ・ヘルン子爵令息」

「そうか・・」


 何を言われるのだろうか・・私はマーレン様の顔を見る事が出来ず下を向き続けた。


「まず、私は君の事が・・アリィの事を愛している」

「・・・えっ・・」


 突然の告白に驚き間抜けな返事をしてしまう。

 でもマーレン様はそんな私のたいどに見抜いていたのか?言葉を続けた。


「君の本当の婚約者は、この私だ」


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