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三姉妹の真ん中令嬢は幸せになれないの?  作者: おつかれナス


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 王宮での夜会の日。

 この日はロード子爵家のメイド達がそれぞれの令嬢の準備に追われていた。

 特に次女であるアリィ様は今まではヘルン子爵令息と婚約をしていた関係で、他の姉妹に比べて装いも地味だった為準備も専属メイドの他に二名で足りていた。

 それが今回はグラビティ侯爵家嫡男との婚約、発表も兼ねているためロード家にとってはアリィ様の準備に一番メイドの手を取られていた。


「ちょっとマギィ!!誰に対して実況してるの!?」

「はっ!!ごめんなさい、今までに無いことだったから一瞬魂が抜けていたわ」


 先ほどから私の周りでメイド達が動き回っている。

確かに私の周りにこれ程のメイドが準備で動くことは無かった。


「今まではお姉様の方が忙しかったものね、マギィもここ数日準備で大変だったもの!今のうちに食事でも行って来たら?」

「アリィ様!私はアリィ様の専属です!特に今回はアリィ様にとっては一世一代の大仕事!この場を離れるわけには参りません!」


 気持ちは嬉しいけれど、あんなに目の下にクマを作ってまで・・

 私はどうにかしてマギィを休ませたくて色々と伝えるも、彼女の想いも強いため平行線をたどってしまう。


「アリィ様、チェリー様よりこちらの手伝いをするように申しつかりました」

「サラ!メグまで!二人の準備はもう良いの?」


 お姉様付きのサラとトゥーエ付きのメグが私を心配した二人が寄越してくれた。


「チェリー様もトゥーエ様も準備に慣れたメイドがおりますので・・マギィ、酷いわね。ここは私たちに任せて仮眠を取っていらっしゃい」

「でもアリィ様の・・」

「今の貴女がいても邪魔なだけですわ!」

「そうそう、そんな顔をしたメイドを連れたアリィ様が、王宮で悪く言われても良いの?最後は貴女にお願いするから、しっかり疲れを取ってらっしゃい!」


 同僚のメグとサラに言われたマギィは ではアリィ様をよろしくお願いします。 と二人に頭を下げ、私にも深く頭を下げながら休憩を取りに行った。

 私は二人にお礼を言うと


「お嬢様を美しくするのも私たちの仕事。その私たちの身だしなみが整っていなければそれは主人の失態になりますので」

「ハハハ・・」


 まったくその通りの事を言われてしまい、私もそれ以上の事は何も言えなかった。


 準備に慣れた二人のおかげで私も時間内に整った。


「チェリー様の装いも素敵でしたが・・やはり侯爵家からの贈り物ですね」

「ええ本当に。トゥーエ様のドレスよりも洗練されており・・とてもアリィ様に似合っておりますわ」


 私のドレス姿を見た二人は目をキラキラしながら褒めてくれた。


「ドレスと装飾品が素晴らしいから・・私が負けていないか心配だわ」


 思わず本音の言葉が出てしまう。


「そんな事ありませんよアリィ。グラビティ侯子様は貴女のことを本当に良く分かっていらっしゃるのね。とても良く似合っているわ・・私の娘では無いみたいだわ」


 私の不安に気付いたのかお母様が部屋に入るなら言葉をかけてくれた。


「お母様・・褒めすぎですわ。私が良く見えるのはドレスのおかげです・・」

「アリィ・・」


 お母様はメイド達を部屋から出すと、私の側まで来てくれた。

 いつの間にかマギィも戻っており、お母様へ椅子を持ってくる。


「マギィありがとう。フフ、目のクマは取れたようね」


 お母様はマギィの顔を見ると安心したように言う。

 マギィも お見苦しい姿を・・ と言って後ろへと下がった。


「貴女は美しい姉と愛らしい妹に挟まれて、いつも比べられて・・どんどん小さくなっていったわね」


 私はどう答えて良いか分からず黙ってお母様の顔を見る。


「貴女はそれを悪い方に捉えていたでしょう?」

「・・はい」


 それは事実だから・・


「それは違うのよ。私がいつも貴女に言っていたのを覚えているかしら?」


 お母様が私に言っていた言葉・・


 それは・・


「貴女は美しくもあり、愛らしさもある。両方持っているのよ!」


 そう小さい頃から言われていた言葉・・


「貴女は両方持ってる特別な子なのよ。貴女が一番お母様の血を継いでいるの。だから心配しないでも良いの。自信を持ってアリィ」

「・・私は、お母様に似てますか?」


 お母様は笑顔で頷く。

 いつも美しい姉と愛らしい妹と比べられ、残念な真ん中と言われていた。


「貴女は美しい顔も、愛らしい顔も両方持っている、とても魅力のある娘よ。侯子様はちゃんと見抜いておられるわよ。だから、こんなに貴女に似合うドレスを贈ってくれたの!」


 お母様の後ろでマギィが泣きながら頷いている。


「あらあら、マギィお化粧を直す時間はあるかしら?」


 お母様が私の涙を拭き取るが、次から次へと溢れてしまう。


「お任せください奥様!グラビティ侯子様も惚れ直すように、アリィ様を美しく整えます!」


 お母様は よろしくね! と言ってお姉様の部屋へと向かって行った。


「ねぇマギィ、私は愛されていたのね。ちゃんとお母様の目には映っていたのね」


 不安だった。

 美しい姉と愛らしい妹に両親を取られて、仕方なく跡取りにされたと思っていた。


「私もロード子爵家の令嬢だったのね」

「アリィ様・・私がお仕えするお嬢様はロード子爵家で一番のお嬢様ですわ!」


 そう言いながらマギィは手際良く化粧を直していく。

 これが最後のお仕えです。なので私の精一杯の力を全て出し切ってアリィ様を美しく変身させます!


 マギィが言った言葉通り目の前に写る私は、今までに見た事がないほどに美しい自分の姿が鏡に映っていた。



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