21 ジョージ目線
何故トゥーエから返事が来ないんだ!
苛立ちを抑えられずメイドへと当たる。
当然メイドは何も出来ず扉の前で立ち尽くしていて、そんな姿にまた苛立ちを抑えられず、手に持っていたグラスを投げつける。
グラスはメイドの横の壁に当たり割れたが、それでもメイドは立ち尽くしたままだ。
「何をしている!!さっさと片付けて部屋から出ていけ!!」
俺の声にメイドは驚きながらも割れたグラスを手にし、部屋から出て行った。
二日前、父親からアリィとの婚約が解消されたと言われた。それは別に構わない、あんなパッとしない女と解消出来て逆に喜んだ。
これで堂々とトゥーエに気持ちを伝えられると。
なのに・・昨日、
「これで君とロード家のトゥーエ嬢との縁も切れたな。俺がトゥーエ嬢に婚約を申し込むよ!」
友人だと思っていた男、モルダン・ガーラインが言ってきた。
確かに最近はトゥーエと踊るのもこの男だけだった。だがそれも俺の友人だからこそ!だと思ったのに・・
「どこで間違えた?いや、トゥーエは俺の気持ちを分かっている筈だから、アイツの申し込みは受けないと思うが・・」
問題はあの父親だ!
娘たちを金になる商品としか思っていない。だからパッとしない女を跡取りにして、他の二人に良い相手をと探しているのだ。
俺はトゥーエに手紙を書いた。
いや、子爵宛に。
俺の気持ちを、トゥーエの俺への気持ちを・・
俺たちは愛し合っているんだ。
今までは俺が 姉の婚約者 だったから、堂々と出来なかっただけ・・
それとトゥーエの年齢もある。
だがまだ長女のチェリー嬢に婚約者が決まっていないから、まだ焦らなくても大丈夫だ。
あの冴えない女も(何故かマーレン・グラビティ侯子に目を掛けられているが)次の相手を見つけるのに時間がかかるだろう。
チリン!!
ベルを鳴らしメイドを呼ぶ。
が来たのは・・
「母上・・」
「二人で話をしたいからそれを置いたら席を外してちょうだい」
母上付きのメイドがテーブルにお茶をセットすると、頭を下げて部屋から出て行った。
母上はその様子を伺いセットされたお茶に口を付けた。
「ジョージに付けるメイドがもういません」
「へっ?さっきのメイドは・・」
「泣きながらロンに嫌だと言っていたそうよ。彼女は優秀なのに・・だからシェリーに付かせました」
「だったら他のメイドを・・」
「貴方に付くメイドはもう居ません。常々思っていましたが、まさかメイド達にする態度をアリィさんにもしていたなんて・・」
母上は呆れて何もいえません!とため息を吐いていたが
「そもそも俺もあの女との婚約は望んでいませんでした!それに俺には運命の・・」
「何様のつもり?」
今まで聞いたことのない声を発したのは、間違いなく目の前にいる母上からだった。
「貴方は自分の立場を全く理解していないのね。お父様とわたくしが貴方の事を思って決めてきた縁組を、貴方の手で壊されるとは・・」
何が俺の為だ!
ロード家の領地から出た鉱石が目当てのくせに!
「母上の心配はわかっていますが、心配には及びません!婚約者が姉から妹に代わるだけです。ロード家も俺が婿入りしなければ困るのは同じ」
だから大丈夫!
母上を安心させるように言った。
「貴方は本当に愚かな男ね。アリィさんだから貴方を受け入れてくれたのに・・」
「ですから言ってるではないですか!今度は俺とトゥーエが婚約を・・」
「そのトゥーエさんはガーライン家のモルダンと婚約を結ぶそうですよ!貴方の友人とね!知らなかったの?」
「えっ?それは・・本当ですか?」
母上はやはりそうか・・と言うように
「ロード子爵家の姉妹は、立て続けに婚約者が決まったわよ。もちろんアリィさんにもね」
母上はそう言うとベルを鳴らしメイドを呼んだ。
「我が家には貴方に渡す爵位がありません。だからこその婿入りだったのに・・もう、貴方を受け入れてくれる家はありません。自身で爵位を得るか、婿入り先を見つけるか、平民となって生活するか・・決めなさい」
そう言い残し部屋から出て行った。
母上は今何と言った?
あまりに色々な事を言われ頭が追いつかない。
だがそれでも一つ。
友人だと思っていた男に出し抜かれた事に腹を立てた。
許せない、モルダンもトゥーエも・・
俺はトゥーエからの返事を諦め次の手を打つ事にした。
諦めない!
その為に全てを犠牲にしても俺はトゥーエを手に入れる!
「まずは何から始めようか・・」
俺の愛は重たいんだよトゥーエ。
恐ろしい男ジョージ。




