17 マーレン目線
「マーレン様少し宜しいですか?」
幼馴染であり護衛であり部下のレッドが部屋に入るなり声を掛けてきた。俺はアリィ絡みだと思いソファーへと誘導する。
「実は昨夜、アリィ嬢に付かせていたメイドのマギィが訪ねて来たのですが・・バレた様です」
「何をだ?」
「全てです」
「・・何処からどこまで?」
その言葉に気付いたのか あっ! という顔をしたレッドは、メイドの言葉を思い出すように話始めた。
レッドの話によればアリィにバレたのは俺の指示で手足となるメイドを側に置いたこと。
俺のアリィへの気持ち(これは既に本人へ伝えているから大丈夫のはず)
「アリィ嬢を未来の侯爵夫人とする事も知られた様です」
「・・・」
そっか・・バレたか・・。
まぁ、いつかは知られる事だしな・・
「マーレン様、マーレン様!戻って来てください!」
「はっ!!!いや、今対策を考えていたんだ・・」
「対策を考えるくらいなら正直に話した方が早いのではないですか?」
ごもっともです・・
「侯爵夫妻はお認めになっておられるのでしょう?だったらあとはマーレン様がアリィ嬢に気持ちを伝えて、アリィ嬢の気持ちを確認すれば全て終わるのではないですか?」
レッドの言う通りなのだが何故か腹が立つ。
だが、こいつは何故かモテるのだ。子爵家嫡男と言う立場からなのか、俺とはまた違うタイプだが人当たりは良いため自然と令嬢が集まってくる。
夜会では俺の護衛ではなく子爵家の嫡男として出席するため、爵位に拘らない令嬢にとっては優良物件の一人と言える。
俺の視線に気付いたレッドは口には出さなかったが アリィとの事をハッキリさせろ!と目で訴えてきていた。
「どちらにしても彼女とヘルン子息とは解消されるだろう。その後でしっかりと伝えるよ」
「・・・」
「ちゃんと俺の気持ちは伝えるから心配するな!」
レッドはやれやれとでも言わんばかりの態度で自分の席へと向かった。
今日も彼女は休みだ。彼女の分の仕事もこなさなくてはいけない為取り敢えず自分も席へと腰かけた。
昨夜、アリィが自身の部屋へ戻った後に彼女の父であるロード子爵にクギを刺しておいた。
どう考えてもヘルンの態度はおかしい。
いくら婚約者が気に入らないと言っても相手を尊重しなくてはいけないのに、奴は婚約者よりもその妹に恋心を抱いただけでなく暴力まで振るった男としてもクズな男だ。
だから言った。
「例のことを家族に知られたく無ければ、正しい判断をするんだな」
と。
ロード子爵には家族に言えない秘密があった。
この件はアリィを調べてたまたま知った事だったのだが、ロード子爵はヘルン子爵に騙される形で借金をしていた。
額は小さいがその事でヘルン子爵に弱みを握られたあげく、アリィと息子との婚約をすすめられたのだ。
アリィとの事を親族にも納得させ、やっと婚約の打診が出来る所までこぎつけた矢先のことで、さすがの俺も暫くの間社交も出来ないほど落ち込んだ。
だけど彼女が部下となり、彼女の優秀さを自分の目で見れば見るほど諦められなくなり、どうすれば俺の妻になってくれるのだろう・・と、そればかりを考えていた。
「マーレンもそろそろ社交界にも顔を出したらどうだい?きっと動き出せる噂がきけるよ?」
そう言って来たのはファーレン伯爵家次男のアンドリューだった。
彼も俺の気持ちを知っている数少ない友人で、何ならアリィの姉チェリーに密かな想いを抱く男だった。
アンドリューの勧めもありある夜会に出席してみれば、アリィの婚約者であるヘルン子息が妹のトゥーエに張り付いている姿が目に入った。
「なぜ奴がアリィではなく妹に付いているんだ?」
「ね?面白い図だろ?彼は将来の妹を守るのも義兄の役目!とか何とか言ってここ最近はずっとああなんだよ。呆れるだろ?」
そう鼻で笑いながらアンドリューは話しかけて来た。見ていて気分が悪くなる。
「肝心の彼女は・・」
きっと壁の花になっているだろう・・そう思い周りを探すと
「ああ、君の護衛くんが彼女の相手をしているよ。彼は子爵家嫡男だからかな?ロード子爵も特に気にする様子もなく放置されている」
笑いながら言っているが完全に俺の様子を見て楽しんでいるのが分かる。
俺はアンドリューの言葉を最後まで聞かずに二人へと近付く。
はじめに気付いたのはレッドだった。
「?マーレン様!珍しいですね、夜会に出席されるなんて!」
レッドの声に驚いたのかアリィが振り返った。そして俺は固まった。
「あっ、グラビティ様・・ごきげんよう」
持っていたグラスをテーブルに置き、優雅に挨拶をした彼女は女神のように美しく輝いて見えた。
姉妹とは違う髪色だが逆にその淡い金髪は彼女の容姿に合っていたし、着ているドレスも薄い水色から裾にかけて濃くなっており女神よりも人魚姫に・・
「マーレン様!!いい加減に戻って来てくださいよ!」
レッドの声で我に返り、そしてまた彼女の眩し過ぎる姿に目をつぶってしまったのだった。
ちょっとだけ情け無いマーレンが書きたくなって・・
まだ続きます 笑




