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77.ノーベルト日記·8

「それで、主様はどういう人だったんだ?」

「言い伝えられてるのはここまでだよ。分かるのは何かしら力を持っていた、ってことぐらいだね」

「力?強さでなく?」

「うん、だって大軍2つを数瞬だよ?まあ誇張されてるとは思うけどね」

「ふむ…なるほど。じゃあ聞きたいことがあるんだが」

「ん?なぁに?」

「何故主様は今でもこんなに敬われているんだ?今、頂点にいるやつが誰だかはわからんが、話を聞くとそいつのことを言っているとは思えん」

「主様が落ち着いた暮らし方を教えてくれた、ってことを子供の頃から言い聞かせるから。学校の教書にも載せられてるよ」

「教書のことは知っていたが、家庭でもか…。それともう1つ、今主様の役割をやっている人の話を全く聞かないのはなんでだ?」

「あー、それは…噂になっちゃうんだけど、主様はその地位に就いてから代替わりを1回たりともしたことが無い、不死の覇者だ、ってことらしいね」

「そんなまさか!?もう1000年にもなるなら10代は代わってるはずじゃないのかい?」

「まああくまでも噂だから、たぶん違うとは思うよ。でも、これは主様がみんなの前に姿を現すのが殆ど無いせいだね」

「そうなのか?大陸間の取引をしたり国同士の条約を結んでるからウチの王様とは会ってると思うが」

「そういうことは確か何人かの外交官が全てやってるはずだよ」

「じゃあ主様は王様相手にも現れないのか…どういう人なんだろ」

「私が知ってるのはこれぐらいだね。…じゃあおじさん、グレフちょうだい!」

「…そうだな、16Gで構わん」

「ホント?やった!…はい、16G!」

「確かに。はいよ、グレフだ」

「ん!ありがとう、おじさん!じゃあお兄さんたち、主様関係には気をつけてね。みんなとっても敬ってくれてるから」

「ああ。ありがとな、嬢ちゃん」

「助かった、あの気まずさはきつかったよ」

「ふふっ…♪」

『…!!』

「じゃあね!」

「あ…じゃ、じゃあね…」

「…い、今のは…」

「彼女の笑顔が…光って見えた…」

「あ、あぁ…」

「ごほん!お前ら?」

『! はいっ!』

「時間から言って無理があるから、今日は隣町まで行くのは止めにする」

「え、ホントっすか!?」

「やった!」

「…つもりだったが!まだまだ元気そうだから強行軍だ!隣町に着くまで休憩無しで行くぞ!」

「な!そ、そんな殺生な~」

「でも、ノーベルトさんは一度決めたら変えないから…諦めるしかないのかぁ~」

「はぁ…もう一度…はぁ…」

「ほれ、サッサと出ろ!時間は待っちゃくれないぞ!」

『うぃ~す…』

「主人、そういうことで出る。返金はいい」

「はい。では、あなたたちに主様の祝福があらんことを」

「感謝する。…ほれ、アラン!ため息ついてないで走れ!…にしても、さっきの嬢ちゃん…何か引っかかるんだが…なんなんだ?」

■ □ ■ □ ■ □

「~♪♪♪」

(主様、ご報告します…上級が北のツース村付近に3頭確認されました。討伐隊を派遣したく思いますが、如何いたしましょう)

「…討伐隊はいいよ、現地の警邏と農作兵だけでやる」

(…錬度はありますが、如何せん数が足りないのでは…)

「ううん。上級の気配は感じてる。あれで十分だよ。それに…指揮は私がやる」

(! 承知いたしました。ではそのように連絡させていただきます)

「ん、お願いね」

(はっ…主様の御心のままに!)

「…あむ。さて、久しぶりにお仕事といきますか!」

■ □ ■ □ ■ □

水色の少女は北へ、商人隊は南へと進んでいきます。

商人隊の見習いたちは、少女の笑顔を思い出しては隊長に喝を入れられてましたとさ。

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