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76.ノーベルト日記·7
そして、決戦の日。
一方は昇ってくる朝日を背に、一方はその日に向かって進軍する。
2つの軍勢は荒野で向かい合い、両陣営の頭首が名乗りを上げた。
名乗りを終えた2人は剣を天高く、真っ直ぐと掲げ…『突撃』の声と共に振り下ろした。
しかし、これは後にお膳立て、と呼ばれる戦いであった。
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「…え?お膳立て?」
「確かどっちかが夜中に奇襲してあっさり勝って、初代主様になったんじゃないのか?」
「違うよ。戦いの決着はつかなかったと言えばつかなかったけど、一瞬でついちゃったの」
「どういうことだい?」
「えーと、確か…」
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両軍がぶつかろうとする数瞬の間に、全ては終わった。
これこそ、主様の降臨であった。
主様は、我らを統べるべくして統べる存在であり、我らはその時から主様のために心血を注ぐこととなった。
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商人隊の隊長は自分の記憶が違っていたのかと、少女の話を聞いて1人自省しています。
隊員たちはいよいよ主様の登場だ、と勢いづくのでした。