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72.サイレナスの穴場
「………………」
「………今っ!」
「早いわよ。…ここっ!」
「でもとれたぞ?…って、ニグニグじゃねえか?」
「力技じゃない…にしてもまた珍しい魚ね。見た目はアレだけど」
「なんだかどうでもいいんじゃない?」
「っと、さっさと入れないと」
「んあ?…じゃあ次釣るか!」
「ニグニグの連釣りは勘弁してね」
「ん。……………」
「…………静かね」
「ん。だな」
「…ちょっと風が冷たいから、寄って…いい?」
「ん?ああ、じゃあ俺が行く」
「え?…ありがと」
「ん。………釣れたぞ、といっても投げ出したいなぁ」
「ニグニグ、か…次釣れたら投げようかしら、ね…」
「んお?…さて、次の魚っと…」
「……釣れた。…あら、大人の水魚。帰さなきゃ」
「…静かだな」
「…そうね。…それに、あったかい」
「…ん」
■ □ ■ □ ■ □
川べりの岩に座って、狩人の少年と少女は釣りをしています。
冷たくなってきた風の中、2人は影を1つにしていましたとさ。