70.アレクスのお仕事 3
「…ふぁ…んぅ…」
「ん、アワユ?」
「あ…アレクスお兄ちゃん」
「おはようだ、アワユ」
「えへへっ。ねえ、またお話してよ!」
「ん~、そうだな…あてっ」
「大丈夫?…石だね」
「…あいつか。すまんがアワユ、どうやら呼び出しかかったみたいだから、また今度な?」
「あ…うん。またね」
「おう、またな」
「…帰ろっかな…」
「で、何の用だよ?クレム」
「特に無い。強いて言うならむかついたからだ」
「時期が時期だから分からんでもないが、俺としちゃいい迷惑だ」
「よかったのなら満足だ。最近は魂運びで感情というものに触れていなかったものだから、うまくいくか些か不安だった」
「いかなくていい。つか仕事は…終わってるよな、こんなことしてんだから」
「無論。しかし数刻もすれば…む、思ったより早い…」
「仕事か。まあ繁殖期を越えりゃ今度は長期休暇なんだから、頑張れよ」
「ああ。また来る」
「しばらく来んでいいぞ、つか来るな」
「そうつれないことを言うな。…そういえば前に言ったあれはどうだった?」
「嫌そうな顔された」
「ふっ…やるのがお前だから仕方あるまい。実際に見てみたかったものだ」
「はぁ…。とりあえず早く行った方がいいんじゃないのか?」
「む、確かにそうだ。ではな」
「…そういや、何であいつは鎌なんてしょってんだ?」
■ □ ■ □ ■ □
大鎌を背負う黒髪の青年は、木から木へと飛び交います。
その手には重そうな袋があり、青年はそれを見て微笑んだそうな。