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68.アレクスのお仕事 1
「…ということで、今日は中央大陸に少し多めにまわすことにします」
「ん、よろし。で、アレクスは?」
「ああ、前から大分経ってるから、とりあえず全体量を2割ぐらい増やすつもりだ」
「そう…だな、うん。確かに結構抜けてるみたいだし。『御神木』は大丈夫か?」
「大丈夫、今日もアワユがお世話してくれたから漲ってるぜ!」
「まあ。あなたの元気であの木も活性化するようにしておいて正解だったみたいね」
「…ちゃんと精霊としてわきまえてりゃ、俺も文句は無い。じゃあ頼むぞ、ウィレイナ、アレクス」
『分かりました、主よ』
「…誰がそんな返事にさせたんだ?」
『クレムです(だ)』
「あんにゃろう…確かに今の時期はわからんでもないが…まあいいか、行ってらっしゃいな」
『はっ』
「…アレクスの違和感がひでぇ…」
「ガウガウッ」
「ん?…分かった、今行く」
「ワウンッ!」
□ ■ □ ■ □ ■
世界のどこかで、神様と精霊たちはその日もお仕事を始めました。
そんな神様の仕事場の屋上で、大鎌を持った精霊が1人、小さくくしゃみをしましたとさ。