63.多望で多忙な
「カイン、武器庫の管理記録の書類頼む!」
「え、今姫様から来たフィエンゴの村長からの要望陳情を書きとっているんですが…」
「あ、カインだ!午前の業務が終わったら模擬戦しようぜ!今日こそ勝ってやるからな!」
「いや、マークス、この量があと2時間で終わると…っと、はい、はい。…新しい型の武器の情報だけでいいと…。あぁ、また増えた…」
「若大将、そろそろ商人隊が出る頃だから、今のうちに出立のための準備許可くれってノーベルトがぼやいてたぜ!てことで頼むぞ!」
「ガァナルさん、その呼び方やめて下さい!っていうかまた増えたぁ!?」
「カインさん、お茶をどうぞ」
「ありがとうございます、タイフェさん。…あ、美味しいですね、これ」
「フィエンゴから来たモノだそうですよ。疲労回復効果もあるとか」
「落ち着きますね…にしてもみんな、僕を何だと…」
「頼れる新進気鋭の大隊長、ですね」
「だったら部下のみんなも手伝ってくれたらいいのに…まああの森で刺激されたから仕方ないかな。タイフェさん、ここからここまでの書類に判子をお願いします」
「分かりました。さて、いつ終わりますかね…」
「鍛錬も疎かに出来ないから…日を跨ぐかもしれないな…」
「…私だけでもお付き合いしますよ、カインさん」
「うん、ホントありがとう…。さて、やりますかぁ!」
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ディバイン城騎士団区画の一角、騎士団執務室で、とある青年は朝からあちこちからの声に四苦八苦していました。
そんな青年を見ながら仕事を共に行っている女性は、いつもより頑張っていましたとさ。