56.…野生の勘ってことですか?
「……………」
「あ、あの、フィル?」
「……何ですか、ハルバ」
「いやさ、『邪闇剣』ってそんなに大変なものなのか…?」
「…『じゃんけん』です。それから別に何もない、ちょっとした遊びですよ…ええ、何にもありませんよ…」
「…え~と…とりあえずもう一回…やる?」
「ええ、いいでしょう…受けて立ちます!!」
「お、おう…」
「最初はグー!!」
「さ、最初は具?」
「ジャン、ケン、ポン!!」
「ぽ、ぽん…」
「お姫様はグー、ハルバはパー、だったかしら?ハルバの勝ちね」
「や、やったー、勝ったー…」
「……………」
「これでハルバは42連勝、と。とりあえず今日はこれぐらいにして、晩ご飯にしましょう」
「そ、そうだな。お腹も空いてきたし…」
「いえ、勝ち逃げは許しませんっ!!」
「ひっ!?」
「…はぁ…」
「まだ勝負はこれからです!さあハルバ、もう一回です!」
「お、おう…」
「私は晩ご飯を作るから、終わったら家に来てね」
「了解…」
「さあ行きますよ!最初はグー!!」
「最初は愚ー?」
「…まあ、今日はお姫様もいることだし、久々に腕によりをかけようかしら」
■ □ ■ □ ■ □
御神木の下で、少年と少女が遊んでいます。
ただ、少女の気迫に少年は微妙に腰が引けてましたとさ。