54.2人のお仕事 その12~村長と隊長さんのお話
「こちらが今回討伐された竜です」
「…透明な鱗?これはもしや…」
「はい、この死骸にはほとんど魔力はありません」
「なるほど、確かに魔力の有無は素材として非常に重要と聞くな」
「そうなんです。私たち村人が着る普段着も魔力有りの素材を使っているほどですから、正直な話この死骸はあまり使い道が無いんです」
「…普段着まで、こちらでは貴重な魔力素材を使っているのか。素晴らしいな、ここの狩人の腕は」
「はい、村自慢の二人組です」
「しかも2人で竜を討伐か。我々の面子などあったものではないな…。村長、説明感謝する。後で我々が運ぶとしよう」
「分かりました。では、隊長さんもあちらでお食事をどうぞ」
「うむ、感謝する。…ところで、帰りも案内人をつけてくれないだろうか」
「勿論です。行きと同じ者を行かせるつもりです」
「…そうか、それならば素早く『逝けそう』だな」
「村でもかなり有能な狩人ですからね、彼女は」
「…うむ」
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兵士たちは村のもてなしを受けて、出発の頃にはやる気に満ちあふれていました。
その帰り道、矢で速度を落とさないように牽制され続けることになるのを、彼らは予知していませんでしたとさ。