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Promising―いつまでも、その時を

ちなみに誰だか分からない人物は今後出ません…多分。

「…お前、何をしようとした?あ?」

「……自分の、業を…償うため、に…」

「そんな建て前や言い訳、つまらんつじつま合わせはいらねえ。…もう一度言う、何をしようとしやがった?」

「…水を、肺に…」

「…で、その後はどうでもよかったと、そう言いたいワケだな」

「…いや、違…」

「いいや違わないね。何か残したのかは知らんが、今までお前がやってきたことを全て無駄にするのはやめろ」

「…でも、僕は…」

「黙れ」

「…っ!」

「自分がやってきたことを、相手にしてきた人やその他諸々を重いからどぶに投げ捨てようとした。そういうことだろ」

「……………」

「今さら悲劇の主人公きどりか?滑稽すぎて逆に笑える。…いいか、そういう風に思うのなら、お前は地べた這ってでも命にすがりつけ。無様に生きのびろ。で、キレイに死ね」

「…キレイに、なんか…」

「別に死に方なんか問題じゃねえ。生きることに執着して、生き物らしく苦しんで、意地汚く抗ってくたばれ、つってんだよ」

「…僕、は…」

「だからな、お前は勝手に自分の命を、何も危険の無い、殺意のひとかけらも無いところで捨てるな。みじめで結構、生きようとしながら死ね」

「……………」

「…もし今後、捨てたくなったら俺のところに来い」

「…それは、つまり…」


次に発された言葉は、自分にとっては何の不思議も無い、予想通りの言葉だった。


「その時は俺が殺してやる」

「……………」

「そして、その時に抵抗しなければ絶対に死なせてやらねえ。醜く生を求めたら、お望み通り影一筋残さず殺してやる」

「…分かっ、た…」

「ふん、てめえを殺せる機会なんてそうそうありゃしねえ。楽しみにしてるぜ?」

「…うん…」


その時、扉を開いて出ていく彼を見て、自分は口元を緩めた。


■ □ ■ □ ■ □

「…懐かしい…」

今、自分は『ここ』に愛着がある。

このまま数年いれば、やってきたことも投げ出してしまいそうだ。

だけど、君はきっと殺しには来ないだろうね。

なにせ、今は呆れるぐらいに生きたいから。

…でも、でもね。

もし僕が『約束』を破ったら、ちゃんと来てよ?

相手をしてきた人たちも一緒で構わない。

必ず、来て。

僕の、たった1人だけいた親友。

夜の闇に溶けていった、その黒い髪を揺らしながら。

僕は…いつまでも待ってるよ。

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