52.2人のお仕事 その10~透明って言ってもぼやけてるよ?
ず~り、ず~り…
「…ハルバ?」
「どした、ライニィ」
ず~り、ず~り…
「…手伝わなくてもいいわよ。今回はかなり『喰った』でしょう?」
「まあ、腹がなんだか変な気分だけど…大丈夫だぜ?」
ず~り、ず~り…
「とか言いながら微妙に顔が青くなってるわよ」
「あ、青!?まさか、昨日おやつに青トカゲの卵を食べすぎたからか!?」
ず~り、ず~り…
「…ものの喩えよ…。というか、犯人はハルバだったのね。今朝のご飯に使おうと思ってたから、余計にびっくりしたわ」
「うむ、美味だった!」
ず~り、ず~り…
「じゃあ今日のハルバの晩ご飯は特別味付けのドングリ一個ね。私はご飯とお刺身。」
「おお、特別!楽しみだな♪」
ず~り、ず~り…
「…馬鹿ねぇ…。ま、それはそうと本当にいいわよ?まだ傷がふさがってないみたいだし」
「え、いい、って何のこと?」
ず~り、ず~り…
「………。ああもう、村についちゃったじゃない…。はぁ…」
「よっしゃ、早く倒したこと言おうぜ!」
ず~り、ず~り…
「…分かったわ。じゃあ、あと少し引っ張りましょう」
「おっしゃあ!あ~らよっ、と!!」
…どっす~ん!
■ □ ■ □ ■ □
村に狩人たちが帰って来ました。
くすんだ水晶のような鱗の竜を見て、村人たちは大層珍しがっていましたとさ。