4.村人たちの出勤
「カンカサムさん!ライニィは!?」
「む、ハルバ。彼女ならツクの森に行ったぞ」
「ありがと!門番お疲れ様!」
「ああ、気をつけてな」
「おうカンカサム、ハルバ見なかったか?」
「ん、アダガフ…とニャムルか。今し方ライニィを追いかけて行ったぞ」
「やっぱり…まだ彼には渡してないのに…」
「あいつらなら大丈夫だろ。まあ、ハルバが話せる状態かは…保証出来ねえけどな」
「昨日はどうしたんでしょうね?」
「アキフの丘の方だったが、よくは知らん」
「そういや聞き忘れてたな。後であいつらん家行ってみっか」
「あ、それなら僕も行きます。渡せなくても置くことは出来るでしょうし」
「アダガフさ~ん!西門に『公国』から商人隊が来てますから、品物の受け渡しお願いしま~す!!」
「ニャムルさんも納品するモノ確認してくれ~!!」
「お呼びだな。んじゃまた後でな!」
「はい。それじゃカンカサムさん、僕たちはこれで」
「ああ、帰ってきたら他の番で伝えさせる。行ってこい」
「分かりました。っと、急がなくては!」
「…ふむ、そういえば少し森が騒がしいが…出発は南門からではなく東門からにしてもらうとしよう」
■ □ ■ □ ■ □
馬車が列をなして進む様子を、木の上で佇む少女が見ていました。
その真下では、少年が少女を探して走り回っていました。
少女は少しの間だけ少年を見、またすぐに馬車に視線を戻すのでした。