35.門番さんの鍛錬大会
「全員、揃ったか?」
「はい、ハルバ以下25人、集まりました!」
「ご苦労、列に戻ってくれ。…さて、今日は前から告知しておいた鍛錬大会だ。皆、今回を己を鍛え上げるきっかけにしてほしい」
『はいっ!!』
「うむ。では、まず強さを見たい。ハルバ、頼めるか?」
「勿論だぜ、カンカサムさん!」
「よし、ではハルバに挑戦したい者はいるか?いなければ俺が順に相手をする」
「はいっ、俺がやります!」
「…マタクか。よし、やってみせろ」
「ちょ、カンカサムさん、いくらなんでもマタクには…」
「よっしゃあ、どっからでもかかってこい!!」
「うぉい、何故にそんなにやる気が出る!?」
「位置についたな…では、始めっ!」
「無視ですかカンカサムさん!?」
「うぉぉぉぉっ!」
「さあ、お前の力を見せてみろっ!」
「かいしんのいちげきっっ!!」
「ひでぶっっっ!!?」
ドサッ…。
「…勝者、マタク!」
「あ、あれ…?勝っちゃった…」
「さて、みんな。今のが伝説の攻撃、『かいしんのいちげき』だ。放つ時に自然とその言葉が思い浮かび、その一撃は敵の防御を貫くという。…しかし、まさかマタクがその使い手とは…面白い」
『うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!』
ドドドドドッ、グイッ!
「わわっ!?お、下ろして~っ!」
『わ~っしょい、わ~っしょい!!』
「うわぁぁぁっ、た、高いのいやぁぁぁっ!!」
■ □ ■ □ ■ □
それは、村に新たな伝説が生まれた瞬間でした。
そして、伝説となった少年は胴上げ恐怖症になってしまったそうな。