31.逢瀬、二度。
「…やっぱりここは、いいなぁ…」
「あ、アレクスお兄ちゃんだ!」
「…アワユ」
「来てくれたんだね、アレクスお兄ちゃん!」
「ああ。今夜も綺麗な満月だな」
「…ねえ、アレクスお兄ちゃん?」
「うん?何だ?」
「お兄ちゃんは、ずっと村にいてくれる?」
「そうだな…御神木がある限り、俺は此処に居続ける。何日でも、何ヶ月でも、何年でも…」
「じゃあ…ずっとアワユと一緒?」
「アワユがこの村にいるなら、俺はいつも一緒さ」
「うん!…えへへっ」
『うぉぉぉぉぉぉ…!!』
「…ん?村が騒がしいな…ケンカ終わったかな?」
「ケンカ?」
「そ。ケンカはあんまりすんなよ?」
「うん!みんな痛いのはイヤだもんね!」
「よしよし、アワユは優しいから大丈夫だな」
「! 撫でられちゃったぁ!」
「おお?ならこうだ!うりうりっ!」
「きゃっ…ちょっと痛いよ、アレクスお兄ちゃ~ん!」
「ははは、すまんすまん!ほら、村のみんなとも遊んできな!」
「は~い!」
「行ったか。……あ~あ、らしくねぇな!…寂しい、なんて…」
「あ……ちゃ…」
「…え?今のは…」
「…アレクスお兄ちゃん!」
「アワユ!どうした?」
「えっと…その…あのね…」
「ん?何だ?」
「その…ね、もう少し、一緒にいて、いい…?」
「! …勿論だよ、アワユ。さ、おいで」
「…うんっ!」
「…やっぱ綺麗だな、この景色…」
「アレクスお兄ちゃん…」
「ん~…?」
「…大好きっ」
「…おう」