3.2人と村人たち
「おっ、お帰りライニィちゃん。ハルバは…大丈夫みたいだな」
「ええ、私たちは頑丈ですから。アダガフさんは…その荷物、仕事の途中ですか?」
「おうよ、村の鍛冶場に届け物だな」
「そうですか。私もハルバを置いたら『外』に行きます」
「ん、そうか。っと、鍛冶場と言えば、鍛冶師のニャムルがお前たちに見てもらいてえモンがあるっつってだぞ」
「分かりました。それじゃあ、私はこれで」
「おう、ハルバにもよろしくな~」
「…前に頼んだ雷剣かしら。ま、とりあえずこのバカを置いてこなきゃ」
「あ、ライニィお姉ちゃん!お帰りなさい!」
「ただいま、アワユ。でもそんなに遠くないし、コレを拾ってきただけよ」
「でもアワユたちじゃ帰れないかもしれないよ?ね、マタク?」
「そうだよ姉ちゃん!それに行く前にカンカサムさんとか親父に止められちまうし!」
「ふふっ、あなたたちはまだ早いかもしれないけど、じきに出させてもらえるわよ。じゃ、私は行くね」
「うん!またね、お姉ちゃん!」
「ハルバ兄も元気でな!」
「………………」
「あんないい子たちに懐かれてるんだから、さっさと起きて働いてね、ハルバ」
■ □ ■ □ ■ □
レンガの家に入った少女は少年を背負ったまま風呂場へゆくと、浴槽に張ってあった水に少年を沈め、そのまま鍛冶場へと出掛けていきました。
しばらくして、少年と少女の家から、怒りのオーラを纏った少年が勢いよく飛び出していきましたとさ。