28.歓迎大会、という名の酒盛り
「うおっしゃぁぁぁ!!始めるぜぇぇぇ!!」
『おおぉぉぉぉ!!!』
「…アダガフ村長…これは?」
「おお、シャムズ!おいみんな!今日の主役だぞ!!」
『おおぉぉぉぉぉ!!!!』
「ひっ!?…主役?」
「そう!今夜は新しい仲間の歓迎大会だ!!さあみんな、祝って祝って祝いまくれ!!明日まで飲み明かすぞぉぉぉぉ!!!」
『おおおぉぉぉぉぉぉ!!!!!』
「え?わっ?」
「ほらほらシャムズさん!こっちよ!」
「語り尽くそう、青年よ!」
「じゃあその後は俺と飲み比べだ!村一番の酒豪の力、見せてやるぜ!!」
「あ、あぁぁぁぁぁぁぁ……」
「はっはっは!宴だ宴だ!羽目はずすぜみんなぁぁぁ!!」
『わぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!』
「…まさかここまで大規模とはな…。シャムズは人の波に飲まれてるし…」
「はは、ちなみにこれはこの村の豊穣祭も兼ねてるみたいだぞ?」
「…君は…いや、あんた、来れたっけ?」
「歓迎大会の主役がシャムズなら、豊穣祭の主役は俺も含んだ色々さ。『豊穣』のヤツはかなり忙しいから、ここは俺が来たワケだ」
「な~る。って、仕事は?」
「ふふ、全て済ませてあるさ。向こう100年分先取りしたぜ」
「…大分頑張ったなぁ」
「ああ、5回仕事机に頭打ちつけながらもやりきったぜ!」
「思いきり寝不足かよ!…でもまあ、今夜ぐらいはいいか」
「その通り。じゃあアレクス、御神木の枝にでも腰掛けて、酌み交わそうじゃないか?」
「おっ、用意がいいねぇ!勿論させてもらいますよ…神様」
「もしかしたら『豊穣』も来るかもしれねえから、ちょっと広めの場所、頼むぜ!」
「あいあいさ~!」
■ □ ■ □ ■ □
その夜、村から灯りと声が止むことは無かったそうです。
そして、宴の主役はこの村に来てから初めて笑い、祭の主役は静かに酒を飲んでいましたとさ。