18.知恵袋と護衛の少年
「…で、あなたが私の付き添い、ってことね?」
「うん、俺がヴェステさんを護衛するよ!」
「ふ~ん、ま、私に逆に守られないように頼むわ」
「は~い!!」
「…本当に大丈夫かしら」
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「それって…6年前だったか?」
「もうそんな昔なんだなぁ…っと、ヴェステさんが戻ってくる前に済ませるよ?」
「あ、スマン。続きをどうぞ」
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「あったあった、この種類の薬草は余り無いのよね」
「ヴェステさん、これ以上奥は確か長から言われた『区域』の外だよ?」
「そんなの珍種の調合用薬草に比べれば何てこと無い決まりよ。それに、村の若き知恵袋と呼ばれる私が何も獣対策をしてないワケないじゃない」
「それだったら長だって知ってるよ?その長にヴェステさんを行かせるな、って言われてるんだ」
「過保護ね、まったく…。私なら心配はいらないわ。行きたくないならここで待ってて。終わったら戻ってくるから」
「あ、ヴェステさん!…僕も行かなきゃ!」
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ヴェステさんは今も昔も猪突猛進です。
夢中になると周りなんて映りさえしませんし、とある趣味に関することをしている時は規則の1つや2つは軽く無視します。