15.精霊さんとお話し
「…アイツはまだ諦めきれんか…ま、分からないでもないけど」
「あら、見えてたの、アレクス」
「おお、もうここまで来てたかライニィ。一応御神木の精霊だから、これぐらいの遠視は楽なモンさ」
「ふ~ん…ねえ、『私たち』が魔法を行使出来ないのは何故か、知ってる?」
「…さあな。魔法に嫌われてるんでね?」
「…かも知れないわね、いや…嫌われてるのは世界に、かしら」
「どういう、意味だ?」
「私も分からない。ただ漠然とそう感じただけよ」
「さいですか。…そういえば、お前たちってなんで同じ家に住んでんだ?確か2人とも親はいたべさ」
「…そうね、確かに。というか、『あの頃』から見てたのね」
「たまたま、だけどな。あんまり同じとこ見てると気が滅入るんでね」
「そう、人間くさい精霊さんね。…さて、そろそろ私は帰るわ」
「回収、の間違いじゃないのか?」
「否定は、しない」
「……行ったな。はぁ~、ほんっっっとに気が滅入ったよ、昔はな…」
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村とアキフの丘をつなぐ道の脇の木の枝に、黄緑色の髪の青年が座っています。
青年は日が沈んだ後の丘をしばらく見つめて、ふっ、とその姿を消しましたとさ。