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14.魔法で飛ぼう
「アレクス兄の言ってた案から、魔法で飛ぶのを採用したぜ!」
「それで私だけじゃなくてマタクまで連れ出して、どうするの?」
「何すんの、ハルバ兄?」
「よくぞ聞いてくれた、マタク!今から俺は飛行魔法で空を飛ぶんだ!お前とライニィはそこで俺の勇姿を見届けてくれ!」
「…え?でも…」
「マタク、つっこみは無用よ」
「いざ、アキフの丘より飛び立たん!フロート、発動っ!」
「…行っちゃった。でも確か、ハルバ兄って…」
「あれ?浮かんでる感じがしな……くぼぉっっっ!!!」
「まあ分かってはいたけれど。全く、魔力が腐るほどあっても魔法を行使出来ないことを、いつまで経っても覚えないのよね」
「……………」
「さ、マタク、そろそろ時間だから帰りましょう」
「ライニィ姉ちゃん、ハルバ兄は…。」
「明日回収するから、気にしなくていいわ。さ、行きましょう」
「あ、うん…。ハルバ兄、生きてるかな…」
■ □ ■ □ ■ □
アキフの丘に夕日が沈みます。
赤く照らされる大地の一角は、より濃い紅で染められていましたとさ。