12.葉っぱちぎり禁止令?
「…よし、これでいけるハズ!うおりゃあぁぁぁ!!」
「…何枚重ねようが葉っぱは葉っぱよ。ちぎられる御神木の身にもなりなさい」
「全くだ。さほど痛くはないとはいえ、光合成するための表面積も地味に減っているんだぞ?」
「す、すんません…って、お兄さん誰?」
「見ない顔ね。訪ねている人がいるとは聞いてないし…不審者かしら?」
「まあまて、ハルバ、ライニィ。特にライニィは剣を下ろせ」
「あれ?なんで俺達の名前を?村の人なのか?」
「村の者、といえばそうだな。だけど生憎俺は人じゃあない」
「そういえばさっき、痛いやら光合成の表面積やらって…つまり、あなたは御神木の精霊なの?」
「的を射ている割には薄い反応だな…ま、その通りだ。御神木の精霊、アレクスだ」
「お、2人とも、ソイツ誰だ?」
「アダガフさん。御神木の精霊だそうです」
「お初にお目にかかる、アダガフ村長。御神木の精霊、アレクスだ」
「…マジか?」
「おう、マジマジ。俺精霊。…っと、俺の用事は挨拶じゃなかった。ハルバ~?」
「何、アレクス兄」
「お、その呼び方いいねえ。て、そうじゃなくて、葉っぱちぎんの止めろ、痛いから」
「でも俺は…」
「でもじゃない。…飛ぶってんなら、魔法なりそのための機械造るなり出来るだろ?」
「なるほど!分かった、もう葉っぱちぎんないぜ!」
「うむ、そうしてくれ」
「ところで精霊さん?」
「アレクスでいいぞ。どないした、ライニィ?」
「薬の調合に葉っぱ、使ってもいいかしら?」
「う~ん、あの薬か…しゃーない、1日1枚だけな。それ以上は大地に生気を廻すのに支障が出る」
「ありがとう。けっこういい薬なのよね」
「ああ、アレか。確かに貴重だし、御神木と同じ木は全く無いからな」
「ああ、ちなみに同じ木が無いのは…っと、お呼びだしだ。じゃ、また話したい時は呼んでくれ。昼間なら大体いるから」
「じゃあな、アレクス兄!」
「おうっ!またな!!」
「…消えた。本当に精霊なのね…ハルバ、いつまで尻に葉っぱ敷いてるの?さっさと調合するわよ」
■ □ ■ □ ■ □
「…神様、何の御用件でしょうか」
…んなかしこまんな。神、つっても小さい世界の神だし、他の神様達よりも大分力が弱いからな。
「え、じゃあいつもの口調でいい?」
勿論。アレクスには2人を見守る役もやってもらってるしな。まあ誰でも普通に接してくれて大丈夫だけど。
「はは、変に友好的な神だな、あんた」
ふふふ、まあな。んでだ、アイツ等の様子はどうだった?
「ん~、いい子に育ってると思うぞ?1人は無駄に元気だが」
…そうか。引き続き頼むな。
「了解。俺としても見守るのはそれなりに楽しいから、頼まれるまでもないぜ?」
そりゃ良かった。じゃあ、そろそろ出勤するぞ。
「あいあい~」