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91.その雨の夜は長く 1
1日空いてしまいました…。
にもかかわらず量が少ないです…。
「あら、雨が…」
そう呟いて、ライニィは窓の外を眺めた。
バケツをひっくり返したように、騒がしくて穏やかな雨が窓から先の景色を閉ざしている。
「どしたライニィ?おお、大降りだ」
「ええ、久しぶりの強さね」
風呂の準備を終えたハルバが、食事机に座るライニィの横に腰掛ける。
不意に、玄関の戸が叩かれた。
「ハルバ、ライニィ!」
「アダガフさん…もしかして、川が?」
上着を広げて雨除けにしていた村長の様子に、ライニィは眉をひそめる。
荒い息を整えることなく、アダガフは答えた。
「そうだ!こっちで土嚢は用意するから運んでくれ!」
「分かりました!ハルバ、急ぐわよ!」
「あいよっ!」
ライニィが振り返った先には、水を弾く水魚の鱗を溶かし込んだ服を二着、手にしているハルバがいた。
2人は先に走り出したアダガフの後ろを走る。
雨は、まだまだ降り始めたばかりであった。