1.そうだ、空を飛ぼう
昔々、とある大陸のとある場所に、小さな村がありました。
そこは特産品が多々あるやらなんやらで、小さい割には賑わっていたそうな。
そして、そんな村に男の子と女の子がいました。
男の子はツンツンした黒髪がハリネズミのようで、水色の瞳はとても無邪気な感じです。
そして女の子は、綺麗な黒髪が風でサラサラと流れていて、黄緑色の瞳が宝石のようです。
そんな2人は、村のはずれで何か話しているようです…。
■ □ ■ □ ■ □
「そうだ、空を飛ぼう!」
「…いきなり何を言ってるの?」
「今思ったんだ、平々凡々な現状を打破するには空飛ぶしかないって!」
「別にそんな打破は必要無いと思うけど」
「いや、必要だ!ということで手伝ってくれ、我が友ライニィ!」
「…まぁせいぜいうまく落ちるのを期待するわ、世界一陽気で馬鹿なハルバ」
「はっはっはっ、世界一なんて、そんなに褒めるなよ!では行こうではないか、今まさにあの夕陽の沈んでゆく丘へ!」
「…帰ってご飯食べるから、私は明日からにする」
「そうか?なら一足先に大空を満喫してくるぜ!」
「はいはい、傷薬用意しておくわ」
「よっしゃあぁぁぁぁ!行くぜぇぇぇぇ!」
「…………絶対安静、ってところね。まあ死なないだろうし、いいか。さて、今日は何にしようかしら?」
■ □ ■ □ ■ □
少女は背中の中ほどまで伸びた黒髪を揺らして、レンガの家の中に入っていきました。
そしてその日、太陽が沈んだ頃にアキフの丘の辺りから、とっても痛そうな叫び声が響いたとさ。