表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ひこうき雲  作者: 三毛
第七章 nostalgic
61/62

第六十一話 日本陥落

オサムとソラはブレードウルフの攻撃に苦戦を強いられていた。オサムはブレードウルフがアーマーフレームの刀に噛み付いている状態でふとソラへ視線をやった。


「ソラ、今の状況は!?」


ソラは攻撃を交わしながら言った。


「んもうさいっこうの気分!」


「そうか…!ならよかったぁ!」


ブレードウルフの腹部を蹴り上げた。即座に肩部105mm滑腔砲で追撃した、弾は命中こそしたものの致命打にはならなかった。ブレードウルフはサイドステップしながら様子を伺っている。


「かってぇくせに動きは速いのな!」


「ほんと、AIってめんどくさい!…キャァッ!」


「ソラ!」


(疲労が表に出始めている…まずいな…)


騙し騙し戦っていたが額から大量の汗をかき、息が上がりきっていた。


--空母プロメテウス


「EEG発進!!」


「いっけぇ!!」


シューターが手を振り下ろすとアカネ少尉の乗ったAF-117EEGが勢いよく発進していった。


「フィサリア、私の故郷…みんな…!今行くから!」


「なるべく対空レーダーに映らないように!高度は40mを維持!1kmを切り次第上昇し奇襲せよ!」


「こちらアカネ、了解した!」


アカネ少尉の機体は数秒で音速を突破、海面を切り裂き突き進んでいった。


「よし、俺たちも侵入するぞ」


艦隊の防空レーダーに5つの点が映った、速度はマッハ1.8と戦闘機の様だが、戦闘機にしては少し遅めの速度だ。


「ん?ヤサカ大尉、艦隊の防空識別圏に侵入してくる機体が来ます、遅いですね…っ…!IFFはAF-02FB!?」


「アグレス隊だ」


ヤサカ大尉は希望に溢れていた。

AF-117EEGが作戦区域に入るまで残り3kmを切った。

ホンダ艦長が黙ってレーダーを見つめていた時だった。


「ホンダ艦長…」


「なんだ」


「東京が墜ちました…」


日本が反国連軍に対して降伏したとの報告が入った。


「…は?国連自衛隊は?!」


「壊滅です…」


(遂に国ごと堕とし始めたか…)


「クソッ!!!」


日本出身のホンダ艦長は、今すぐにでも日本に向かいたかったがフィサリアの現状から顔を背けるわけにはいかなかった。


 オサムとソラは疲労困憊の中ブレードウルフに苦戦を強いられていた。


「はぁ…はぁっ…くっそ…」


「オサム大丈夫!?フラフラしてるよ!」


「大丈夫じゃねぇ残弾もほぼ無い、バッテリーもあと40%...ちと使いすぎたな」


「来たよ!」


ブレードウルフはオサムが弱っているのを見計らって真っ直ぐ突っ込んできた。避ける動作は一切せずに、ただとどめを刺す様に。


「へっ…こいやぁ!」


オサムは肩部105mm滑腔砲を引きちぎってブレードウルフに振りかかった。火花が大量に散り滑腔砲の弾が誘爆した。


「ざまぁみろや…」


ブレードウルフは頭部が損壊、じっとオサムの機体を見つめていた。


「はっ…トドメ!」


ソラがトドメを刺そうとした時だった。


「よせ!もう一機来てるぞ!」


ソラが横を向くと画面いっぱいにブレードウルフが口を開けていた。


「うそっ…」


覚悟したその時だった。


ミサイルがブレードウルフに命中し、ブレードウルフはバランスを崩した。その勢いでソラの機体と衝突した。


「キャァッ!」


爆煙から現れたのは背を向けてブレードウルフの頭部を踏み潰したアカネ少尉のAF-117EEGだった。


「アッ…アカネちゃん!」


「もう大丈夫!」


三人は体制を建て直し、再度ブレードウルフと立ち向かう。

アキはサイガとの交戦で互角の戦いをしていた。


「グゥ…フフフ…中々やるなぁ」


「もう良いだろサイガ」


「この戦争で勝つ事で我々は正義を獲得する。差別も迫害も無い新秩序…NEW ORDERだ、国連防衛軍のお前達を完膚なきまでに叩きのめす」


アキはその台詞を聞いた途端少し煽る様な口調で答えた。


「ハァ?被害こそ大きいがポツポツとゲリラ的な抗戦しかしないお前達に何が出来るんだよ!」


「軽口を叩けるのも今のうちだ」


アキがサイガを睨みつけている時に無線が入った。


──日本が墜ちた


「…は?」


「やっとか、流石に時間がかかったな」


「どういう事だ」


「5日前にフィサリアからも地上部隊が出撃している、どうだ?実際にアクトロスとブレードウルフと少しの部隊しか居ないだろ?ククク…アハハ!」


サイガの笑い声が脳内に響き渡る。アキは頭に血が上り切っていた。


「こんの野郎……っ!!だぁぁぁ!」


肩部105mm滑腔砲を展開し、力任せに撃ちまくった。


「お前達の動きなど諜報員無しでもお見通しだ」


その頃空母アーセナル・ヴァルキリーのレーダーは、高度一万メートルで15機の大型機を捕捉した。


「…?なんだ…」


「こちら航空自衛隊戦略爆撃大隊所属「富嶽Ⅱ」支援に来た」


航空自衛隊は日本が陥落する前に全長20m、18発のエンジンを搭載した超大型戦術爆撃機富嶽Ⅱを離陸させていた。残存していた富嶽Ⅱ部隊がアーセナル・ヴァルキリーの防空識別圏に接近していた。


「富嶽Ⅱ!防空識別圏に侵入!」


「富嶽Ⅱ!?富嶽Ⅱは要請していない!フィサリアを焼け野原にするつもりか!?退却しろ!」


「何処へ帰れば良いんだ!帰る場所はさっき失った!ここで全て終わらせる」


支援とは名ばかりでただただ怒りに身を任せた報復だった。ホンダ艦長はこの時、撃墜するか()()を受け入れるの2択に迫られた。


「待て、民間人の避難は完了していない!攻撃を中止しろ!おい、FGS15を緊急発進だ!」


カタパルトから20機のFGS15戦闘機を緊急発進させた。

空には絶望の飛行機雲が15本、綺麗な線を描いていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ