第六十話 膠着状態
「うぅ….なかなか手強い!!」
ソラとオサムはブレードウルフ二機からの攻撃をなんとか耐え凌いでいた。ブレードウルフは左右に移動しながら真っ直ぐ来るかと思いきや、大きく右に逸れて片割れのブレードウルフと連携しながら攻撃してきた。
「またこの攻撃よ!もうしつこい!」
「おんなじ攻撃しか出来ないのか!このガラクタが!」
さっきからほぼ同じ攻撃をしてくる。まるで2人で遊んでいるかの様に、大きく右に逸れる時もあれば、飛び跳ねたり左に展開したりして、2人の行動を観察している。
「セト隊長、増援を要請します」
『今迎える機体を探す、ちょっと待っててくれ!』
「相手は恐らく無人機!なるべく早く欲しいです!」
セトは艦橋にあるマップを確認するがアキ含め増援に迎える様な機体は無い、唯一空母プロメテウスにアカネのアーマーフレームだけが残っている。
「アカネ、出しますか?」
「いや、下手に新型を出さない方がいい、本当はアキ達のAF-22も出したく無いんだ」
「なるほど……おっと失礼します」
ヤサカ大尉の元に通信が入った。
「はいはい、分かりました。50分後には突入体制を整えておきます、はい、失礼します」
セトは何を話しているのか気になって見ていた。
通信を切るなり、自信ありげに指示を出し始めた。
「プロメテウスからアーセナル・ヴァルキリーへ通達!ミサイル攻撃を再開する、協力されたし。目標は防壁上部固定対空砲台である!」
「了解、アーセナル・ヴァルキリーへ通信します」
「ヤサカ、一体何をする気だ?」
「アグレッサーの登場です。すみません、アカネのAF-117EEGも出撃させます」
「分かった。ソラ、オサム!アカネ少尉がそちらに向かう、それで凌いでくれ!」
同時期アーセナル・ヴァルキリー艦内
「艦長、プロメテウスより入電です。
旗艦アーセナル・ヴァルキリーへ、ミサイル攻撃を開始する目標は防壁上部固定砲台である」
「何か考えがあるんだな、よし全艦ミサイル発射。目標防壁上部固定砲台!」
艦艇の甲板に敷かれている垂直発射機構のハッチが開放、勢いよく煙を吐き出しながら上昇していく、ミサイルはある程度の高度を取り防壁をシーカーに捕らえ、真っ直ぐ航跡を引きながら突っ込んでいく。その数は1800発にも及んだ。
「着弾します」
対空レールガンは1800発もあるミサイルを次々と撃墜していくが、中にはチャフやフレアを撒き散らしながら飛んでいるミサイルもいた為にその数に圧倒され次々と撃破されていった。
「命中!対空能力がどんどん下がっていきます!」
「アーセナル・ヴァルキリー艦内のFG15Sはただちに離陸、プロメテウスのも離陸させろ!」
アーセナル・ヴァルキリーのエレベーターに戦闘機が乗せられて甲板へと上がっていった。
アキと交戦中、サイガの元にミサイル攻撃の報告が上がった。
「サイガ司令、国連艦隊がミサイルを発射し余りの数に防空網を突破、対空能力が壊滅しました」
「……分かった、もう全ての戦力を投入しても構わん、GTも出せ」
「かしこまりました」
サイガから聞こえたGTと言う単語、まだ戦力を温存していたことにアキは冷や汗が出ていた。
『GT発進せよ』
民間の鉄道駅の退避路線にある施設のハッチが開き、GRAUND TOURINGと書かれた装甲列車がゆっくりと姿を現した。
「この時代に装甲列車だぁ!?」
「こっちに来る…!俺たちを皆殺しにする気だ!」
ジョイントを通過する音が聞こえてくる。人々はより一層狂ったように逃げ惑っていた。
「まだ殺すのか……!」
「もちろん、皆殺しだ」
アキは焦りを感じつつも呼吸を整えて斬りかかった。
「──はぁぁぁぁ!!」
思いっきり刀を振り翳したがサイガは軽々しくそれを弾き返した。
「何度も何度も、同じ事を」
「うわぁぁぁぁ!」
(まっ……負ける……)
アドレナリンが切れ始め鼓動が早くなり現実がどんどんクリアになっていく、アキは後退りをし始めた。サイガはマチェットを振り上げアキの全てを終わらせようとした。
「全ておしまいだ、私の復讐の糧になれ」
(ここで負ければ全ておしまいだ…!!)
「まだまだぁ!」
サイガがコックピットを突き刺そうとした瞬間、アキはアーマーフレームの右腕を構えた、振り下ろされたマチェットは右腕を貫通したがコックピットまで届かなかった。
「右腕を盾にしたか」
「右腕くらいくれてやるさ!」
「フン!面白いな、いいだろう目にモノを見せてやる」
サイガはアキのアーマーフレームの右腕を切り落とした途端、即座にマチェットを持ち替え再度突き刺した、だが流石にアキに弾かれてしまう。サイガはそれでも間髪入れずに切り掛かってきた。
「チッ…いい加減落ちろ!」
(このペースだと後3時間も持たないぞ…!!)
明らかに劣勢のアキ、集中力と時間だけが無くなっていく。




