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ひこうき雲  作者: 三毛
第六章 ひこうき雲のその先
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第五十二話 Unknown

作戦は最終フェーズに突入した、こんな時にも敵はやってくる。

「ヤサカ大尉、AF-117EEG、出撃します」


「ありがとう、さっきからアカネが出撃したいって五月蝿いからね、仕方がない」


アカネ少尉のAF-117EEGは、カタパルトから射出後すぐに上昇、いつもならじんわりと上昇し落ち着いた様子だが、今回ばかりはまるで何かに取り憑かれた様な出撃だった。

アカネ少尉は歯を食いしばりながら、レバーを目一杯押し込んで額から汗をかき、脳波は少し乱れている。


「早くしないと…みんな死んじゃう、()()()にごめんなさい出来なくなっちゃう…!」


--戦闘空域


「アキィ!」


セト隊長は機関銃を乱射しながら、不明機に接近したが、ひらりとかわされてしまう、セト隊長が振り向こうとした瞬間、すでにショットガンはセト隊長のAFに向けられ、銃口から火花が飛び散った。


「まずい!!!」


弾丸はセト隊長のAFを貫き、AFは空中分解しながら落下していく、その間20秒も無かった。コックピットはなんとか形を保っていた為、オサムがそれを回収し、急いで空母プロメテウスへと向かう。


「セト隊長!!!!」


「アキくん前!」


何の躊躇もなく切り掛かってきた、画面一杯に不明機のヘッドパーツが写り、なんとか弾いたがそれもソラが気を引いてくれたからだった。まるで狩人の様な勢いで、人対人、ではなく、人対獲物だった。相手は確実に殺しにきている、待ても通用しない、あるのは生きるか死ぬか、今第303技術戦闘隊は、不明機の手のひらで回されている。


「貴様らでは、サイサリスのAF乗りの足元にも及ばんわ」


「なにぃ…」


敵に煽られ、アキはいつも以上に頭に来ていた、しかし反撃するにも余りにも情報が少なく、ギャラルホルンを撃墜した事と、オルカより強いのは確かだと言うことだけはハッキリしていた。

アキはまだ燃料の残っている第3段ブースターを不明機に向け点火しながら切り離した。マシンガンでブースターをロックし発射。不明機の目の前で破壊し、爆発させた、爆発は不明機を巻き込んだが、爆煙の中から何事もなかったかの様に飛び出し、鍔迫り合いが発生した。


「ぐっぅ…なんなんだコイツ…!」


「お前、中々テクニカルな戦い方をするな、オルカが苦戦する理由が分かる気がする」


ヤサカ大尉は、この声が妙に親近感が湧いていた。老人手前の様な少し乾いた声、訛りもフィサリアの訛りじゃない、明らかにサイサリス基地周辺出身でない事は確かだった。


(まさか…いやそんなはずは、あいつはユーマさんが撃墜したはずだ)


◯(回想)


8年前、フィサリア この戦争最大級と言っても過言ではない程の激戦が行われた。

天気は雲ひとつ無い快晴だったが、爆撃による黒煙の影響で、黒く、夜の様に暗かった。

海上には反国連軍艦隊が健在していたものの、空母アーセナルは民間人の救助と制空権を確保する為に、空母打撃群として命懸けでフィサリアに到着。ヤサカとホンダは当時准尉で、同じ空母アーセナルでヘリコプターでの救助作業に取り掛かっていた。同じ空母にFG14sに乗ったユーマも居た。


「救助部隊、俺らが先に行くぞ!ホンダ!ちんたらすんじゃねぇぞ!」


「るせぇ!さっさと行け!」


ガッツポーズを上げ、アーセナルからユーマは発進した。ヤサカとホンダもロープや担架を持ち、ヘリコプターへと駆けつけた、ゆっくりと上昇し目的地へ向かう、火災と黒煙ばかりの景色は地獄の様な光景だった。


「レーダーに反応あり、反国連軍のSDU-21!二機確認!高度が……っ!?コイツらまさか!?」


二機のうち一機は上昇と降下を繰り返し、降下の際には減速する様な素振りを見せていた、地上に対して機銃掃射を行っているとしか思えない行動だった。


「オイオイ…アイツらどんだけクズなんだ!何人殺せば気が済むんだ!」


「ユーマ!蹴散らしてやれ!」


ユーマが前進すると、白旗を掲げた一人の男の子を見つけた、SDU-21はその子供に対して機銃掃射を行ったが、外れた為に再アプローチに入っていた。


「子供が機銃掃射を受けている!今から落とす!…だが一機は戦意喪失している様な飛び方だ、後でこの子を助けてやってくれ!白旗を上げている男の子だ!」


ユーマは、ツリートップレベルから音速で接近し、サイドワインダーを発射した、ギリギリで回避され、SDU-21対FG14sのドッグファイトが始まった。

しばらくすると空中戦が終わりを迎える、SDU-21はユーマと互角に戦いながらも民間人を射殺していた、その隙に懐へと回り込み、絡めとる様な形で機関砲を発射、致命打にこそならなかったものの、炎上し、黒煙を吐きながら撤退していった、立ち去る最後に敵から通信が入った。


『やるな貴様、これで勝ったと思うなよ、俺たちの恨みはこんなもので終わるものでは無い!!!』


老人手前の様な少し乾いた声で殺意でいっぱいの台詞だった。


「いい加減にしろ!こんな戦争狂ってる!」


アカネを救助した直後だった為、ヤサカ自身も心に余裕がなかった、無線機をこれでもかと握りしめ、SDU-21のパイロットめがけて罵声を浴びせている。

ホンダはヤサカの肩を叩き、今はそう言う状況じゃないと言う表情で、怒りを沈ませようとしている。


「落ち着け、行くぞ、子供を救助する」


ヘリコプターは男の子の元へ向かった。


◯(回想終わり)


(やっぱりあの時の声と似ている…)


「アキくん、その相手もしかしたら8年前にフィサリアを襲った奴かもしれない!」


「フィサリア…近くの街か…」


ヤサカは知っていたが、アキはとぼけているのか、記憶がないのか知らない様な返事を返した。


「今までその話題に敢えて触れていなかったが、まさか忘れたのか?!フィサリアだ、今から8年前の戦闘で、俺とホンダは君を助けた!君は白旗を担いでいたんだ!」


アキは驚愕し、一瞬硬直してしまう、その一瞬を突き不明機は切り上げてきた、アキは刀を振り下ろし鍔迫り合いが発生した、あたり一面に耳を抑えたくなる様な金属の激突する音が広がっていく。


フィサリアの悪魔

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