第五十話 一歩
まさかのギャラルホルンが撃墜され、急遽、第303技術戦闘隊はアーマーフレームの訓練に切り替えた。
「貰った!」
「何!?」
よく狙い、引き金を引いた。アキから放たれた模擬弾は真っ直ぐにFG14SRに命中した。
aggress クロネ中尉 LOST
初めての撃墜判定だった。
「俺が撃ち落とされたのか」
「ボサっとしてるからだ!」
クロネ中尉のコックピットの隣を、スロットル全開で通過するグレーのFG14SR、ステイン中尉は余りのスピードに主翼が許容速度を超え、バタバタを震えていた。
「はやいっ!だけど俺だってアーマーフレームだ!第一弾ブースター、完全燃焼確認しました、ブースターをジェットソン!」
『AF-02FBのブースタージェットソンを確認、投棄されたブースターは常に監視する様に』
ソラとオサムは、アキのとてつもなく激しい戦いに、肝を冷やしながら眺めていた。
「頑張れ…アキくん」
ブースターの投棄を終えたアキのAF-02FBの機動力はグングン上がっていく。
「ブースターを捨てた所で!」
ステイン中尉も、アキ同様にFG14SRに付いているブースターを切り離した。
「ステイン!ブースタージェットソン!」
(ステイン中尉…!?まだ加速するつもりか!?)
「これでお互い様だろう!」
機動力が付いたFG14SRの機首は、見る見る内にアキに向け、首が座った途端、機関砲とミサイルを発射した。
「くっそ、軽くなったとはいえ、あと3段はブースターが残ってる…!」
「重そうだな、ここで仕留めてやる、サキ!俺が囮をやるから、そっちが仕留めてくれ!」
「了解したわ、レーダーロック」
ロックオン警報が鳴り響いた。
「ロックされた!?…いや、当たり前か、メイル大尉もそろそろ仕掛けて来るはずだ!」
「今は…仕掛けないよ…!」
「FOX1」
アキのRWRから、MSLと表示され、警報がより慌ただしくなった。
「撃ってきた、ギリギリまで惹きつけて…さぁステイン中尉はどう動く…!?」
ステインはラダーを目一杯踏み込み、ノズルを曲げ、ドリフトの様に一気に機首を向けて来た。それに合わせてアキはフレアを撒きながら、上昇を開始する。
「ここで上昇だと?正気か?!」
ステイン中尉は、アキの奇行に驚いたが、メイル大尉は口角を上げ、真っ直ぐ突っ込んで来た。
「ほら来た!これを読んでたんだ!」
油断していたサキ中尉に向け、模擬弾を発射、見事に命中しサキ中尉は撃墜判定が下された。
「なっ…」
「サキ!くっそ、俺たちはアグレス隊だぞ!」
「ふふっ…イオ!」
「すでに仕掛けております」
イオ中尉のFG14SRには、唯一IRSSTが搭載されており、赤外線誘導方式で中距離誘導弾を発射していた。
ビーッ!!!
コックピットのモニターに、撃墜判定の文字が刻まれた。
「えっ撃墜された?」
「ハイ、そこまで!!」
「負け…た…」
訓練終了の合図が鳴り、部隊は帰投する。
「アキ、撃墜されたな」
「いや、まだ良くやった方さ」
セト隊長は、少し嬉しそうだった。
--サイサリス基地周辺
「こちらサイガ、サイサリス基地への着陸を要請する」
『お疲れ様です、サイガ少佐、L06への着陸を許可します』
ゲートから、MF-06SERが運ばれている。コックピットが開き、サイガ少佐が降りて来た。
「衛星機動兵器破壊任務、お疲れ様でした!」
「あぁ、ところでベース78の状況は」
「はっ、サイガ少佐が衛星機動兵器を破壊された時から、戦闘機での訓練を中断し、アーマーフレームの訓練に切り替えた様です」
それを聞いたサイガ少佐は、何か勘付いた様だった。
「……都市にアーマーフレームを配備させろ、戦車部隊は全て配備だ、その他の部隊も市街地に展開させろ」
「は…わかりましたが、何故です?」
「時期にわかる」
--ベース78 作戦会議室
セト隊長は、UNAFSPについて改めて3人に説明していた。
「もうすぐ開始される計画についてだが、3日後にアキのアーマーフレームを宇宙、つまり高度1万メートル以上まで打ち上げる。この際、反国連軍サイサリス基地から、迎撃が来る可能性がある…というか100%来る」
「ならどうすれば」
「ソラ少尉、オサム少尉、アーマーフレームでスカイボードに乗ったことはあるな?」
「あります」
「なら結構、それでCAPをしてくれ。今回はアグレス隊もAF-117EEGも援護する」
※ CAP combat air patrol 空中戦闘哨戒機
「了解!」
(アカネ少尉も来るんだ)
3日後、アーマーフレーム打ち上げ計画当日10分前、この3日間、3人は死ぬ気で訓練をやり抜いた。
「ついに今日か、大丈夫かな…」
「大丈夫だよ、絶対!」
励ますソラを横目に、アキは少し微笑んだ。
『第303技術戦闘隊、マスドライバーへ!!第444戦闘隊は、出撃準備!AF-117EEG、アカネ少尉はプロメテウスで待機!』
「来たなアキ、ソラ、いくぜ」
「よし、やるか!」
アキは拳を合わせ、自身を奮い立たせた。
「AF-02FB、マスドライバーへの接続完了!」
『了解、チェック完了後に発進、待機せよ』
アーマーフレーム、遂に宇宙へ!




