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ひこうき雲  作者: 三毛
第六章 ひこうき雲のその先
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第四十五話 最低

001の状況も落ち着きを取り戻した、新第一艦隊はUNSAFPを次の目標にする。

オサムが療養室に来た、片手には食べ物で一杯になっている手提げ鞄を持っていた。


「ん、これ飯」


「アーセナル・ヴァルキリーって知ってるかオサム」


「ん?さっき言ってたやつか、なんだろうな新しい空母か?」


ホンダ艦長がやってきた、アキの容態を確認しにきた様だ。


「改装後のヴァルキリーの名前さ、どうせ乗るならならアーセナルって付けたいだろ?」


「ま、まぁ…」


余りにも理由が単純過ぎて、2人はどう返せばいいか分からなかった、ふと手元を見るとホンダ艦長の手には、UNSAFP(国際連合防衛軍宇宙進出計画)と書かれたファイルを持っていた。


「新第1艦隊はひとまず国連防衛軍宇宙開発基地、ベース78に向かう、だが見ての通りヴァルキリーはまだ改装中だ、そこで、3日後に空母プロメテウスに乗って先に行っててくれないか、ソラ少尉も一緒だ」


「ソラ少尉?」


「なんだ聞いてなかったのか、この間の戦いで303全員は一階級昇進してる、お前らも対象だぞ、少尉殿」


見る見るうちに上がっていく階級に呆然としていた。開戦から約一年、ちょっと前まで下士官だった人間が急に尉官になってしまった。オサムもアキも驚きを隠せなかった。


「早いな、今じゃエリス少尉と同じ位か」


「いい人ばっかりだったな、第125戦闘飛行隊」

(オルカめ…!!!)


2人が余韻に浸っていると、扉が開きソラが入ってきた、ソラもさっき昇進を伝えられたそうで、驚いた顔をしていた。


「私、少尉になっちゃったよ?!」


「そうらしいな、実は俺らもだ」


「みんな一緒だね!」


「3日後にプロメテウスに乗艦することになった話も聞いたかい?」


「聞いた聞いた、ヴァルキリーの改装があと一週間はかかるみたいだから、先に行っててだって、とりあえずみんなおめでとうだね!」


--3日後 ホリコシ司令官をベース004へ降ろし、帰ってきたプロメテウスがベース001に入港した。


「AF-02FBをプロメテウスに乗せろ!」


「アキ少尉、ソラ少尉、オサム少尉の乗艦を許可します、ヤサカ大尉、先導をお願いします」


後部ゲートが開いた、とても広々した空間にAFがぎゅうぎゅうに詰まっていた、少し目線を下に向けるとヤサカ大尉とアカネ少尉が待っていた、アカネ少尉は少し不貞腐れた顔をしていた。


「はじめましてだね、私はヤサカ、大尉だけど一応医者だよ、そしてこの子はアカネ少尉、歳が近いから仲良くしてやってほしい」


アカネはアキの顔を見るなり、近寄ってきた。ソラは警戒しグッと構えた。


「君、死ぬよ」


「……は……?」


一瞬にして空気が凍りついた、アキは急展開過ぎて言い返す言葉すらなかった。アキの背後からソラがまっすぐアカネの顔だけを見ながら歩いてきた。


「ちょっとなんなのよあんた!」


「本当の事言っただけ、あの戦い方じゃいつか死ぬ」


ソラは平手打ちをしようと手を挙げた、オサムとアキがソラの腕を掴み静止させようとしていた。


「ソラよせ!」


「だって!」


ヤサカ大尉は少し微笑みながら優しそうにソラに話しかけた。


「急な無礼すまない、アカネ少尉は8年前の戦争でとても深い傷があるんだ、こちらからしっかり指導しておくから、今回の事は勘弁してくれないか」


「深い傷?私達だって、爆撃のせいで目の前でみんな殺されたんだ!ここにいるアキくんもオサムくんも、みんな傷まみれだよ!どうしてそんな事が平気で言えるのさ!ハンディキャップは貴女だけ背負ってるんじゃないのよ?!」


アキとオサムはここまで怒り狂うソラを初めてみた、勢いが有り余っており、2人がかりでやっと抑え込めている状態だった。


「ソラ!もういいから、落ち着いて!」


「あんたなんか!しん…」


その時、頬を引っ叩く音が、格納庫中に広がった、ソラの目線の先には血相を変えたアキがいた、アキの口元はとても震えていた。


「何を言おうとした」


「え……っ…」


余りの衝撃に、オサムは後退りをする程だった。


「俺たちは味方だ!味方にそう言う言葉を二度と使うな!」


「ごっ…ごめ…」


「オイ、アキ、その辺で」


アキは歯を食いしばり、背を向け立ち去った。


(最低だ、オレ)


ソラの頬を引っ叩たいた手が震えていた。


「すまない」


「最低…もう顔も見たくない」


「…」


ソラはアカネとヤサカ大尉に暴言を吐き捨て立ち去った、オサムは敬礼をしその場を後にした。


2時間が経った頃、ソラは自室で布団に篭っていた、髪はボサボサで目は濁っていた。しばらくするとアキが申し訳なさそうに入ってきた。


「ソラ、さっきはごめん」


ソラは横に首を振った、目からは涙が滴っていた。


「ははっ…あの戦い方じゃ、やっぱりダメなんだな」


「そんな事ない、何回も助けられてる、だから腹が立ったの」


「そうかそうか、よしよし、ありがとうソラ」


「ゔぅぅ、悔しかった!何も知らない人にああやって言われるのぐやじがっだ!」


アキはソラの頭を優しく撫でながら、ソラが泣き止むまでずっとそばにいてあげた。ソラの太ももは涙でずぶ濡れだった。 

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