第四十一話 判断
オルカ率いるスレイヴ隊は第303技術戦闘隊と交戦、新しい闘い方に翻弄されるパイロット達
「司令、ベース004アカサカ司令よりお電話です」
「はいはい」「久しぶりだね、偵察機ありがとうね」
「いえいえ、そんな事より、指揮系統をベース004に移されては如何です?陥落はほぼあり得ないですが、万が一の為に…司令だけでも」
「そうだねぇ、私が死ねば指揮系統はガタガタになるかも知れないからね…分かった、余り乗り気じゃ無いが後でベース004に向かうよ」
ホリコシ司令は元々下っ端の兵士だった、中等教育学校を卒業したのち、国連防衛軍の前の軍隊、国際治安維持軍に入隊し数々の戦闘を経て、元帥に昇格、今は国連防衛軍総司令官になっている、その為現場にいる兵士達の事を考えると、自分だけ避難と言うのは余り乗り気じゃ無かった。
(私だけ避難なんて…私はギリギリまで避難はしない)
「囮がいるな、いま使われていない艦艇はあるのかね」
「あります、20隻ほど」
「分かった、状況次第ではここを放棄するからね」
兵ホリコシ司令がここを放棄する可能性があると兵士に伝えると、兵士は顔色が悪くなっていった、ここが陥落する事はつまり国連防衛軍の敗北に等しいからだ。
-ベース001第303技術戦闘隊
「くそぉ!」
オサムはオルカとの戦いに苦戦を強いられていた、大きく被弾こそしてないが、ダメージはどんどん蓄積された。
「狙撃手、腕を上げたな、だがまだまだ甘い!」
オルカは脚部の出力を最大値まで上げ、オサムの砲撃を掻い潜り、モニターの死角からコックピットを蹴り上げた、オサムは吹き飛び、監視塔に頭から突っ込んで停止した。
「うわぁぁ!監視塔が倒れるぞ!」
(まずい…このままじゃやられる!)
オサムが上を見ると、崩れてくる監視塔が見えた。
「そうか!」
--アキ、ソラ
「2度目だ、オラァ!」
「ソラ、来るぞ!」
「分かった!私は1機目を見るよ!」
「なんだあの動き死にてぇのか!?」
敵の攻撃に対し、アキは前進、ソラは後退を始めた、それに合わせるかの用に敵も隊列が乱れていく、2機の目標がアキに変わった瞬間を狙い、ソラは射撃を開始する。弾丸は見事に敵のバックパックに命中、推進力が弱くなった。
「うわっ?!俺とした事がアレは揺動だったのか!」
「しっかりしろフェンサー!」
「言われなくたってぇ!」
(敵に焦りが見えたな、今がチャンスだ…!)
操作レバーを目一杯前に押し込んだ、アキのAFのバーニアから青い炎が勢いよく出てきた、アキはサイバーに体当たりし、よろけた瞬間を狙い脚部の関節を踏み潰した。
「これでトドメだぁ!うっ…」
刀を振り上げ、コックピットを斬ろうとしたアキだが、斬れなかった、"人を殺す"アキ達はその経験が浅過ぎた為に今になって攻撃を躊躇ってしまった。
「ふん!殺すなら殺しやがれ!」
サイバーは、アキの脚部を掬い、地面に叩きつけた、その衝撃でアキは脳震盪を起こし、意識が朦朧としてしまった。
「じゃあお前はここで終わりだ」
「アキくん!!!」
脚部が使えなくなったサイバーはヨロヨロと立ち上がり、なんとか支えながらマチェットでトドメを刺そうとしていた時、横からとてつもないスピードで接近してくるセト隊長を確認した。セト隊長は超低空で接近し、サイバーのコックピットを思いっきり切り裂いた、サイバーのAFは真っ二つになり、大爆発を引き起こした。
「サイバーが死んだ…!」
セト隊長は唖然としているフェンサーに近づき、斬りかかった、フェンサーはなんとかそれを弾きながら耐えていた。一瞬の隙を付き、セトはフェンサーを弾き飛ばした。
「はぁはぁ…なんとか間に合ったな…アキは?!」
「うぐっうぅ…イテテ….」
「アキくん!」
「無事か、いいか!ここは今戦場だ、お前がやらなきゃお前が殺されるんだぞ!俺たちがやられれば、その後ろには民間人がいる事を忘れるな!」
「りっ了解です!」
「俺は他の部隊の支援に向かってる、お前達はなんとかその2機を相手してくれ!」
「お前らぁ!皆殺しにしてやらぁ!」
セトが立ち去った瞬間、フェンサーが瓦礫から飛び上がり、斬りかかってきた。
「仕方がない、俺はやるぞ」
アキは装備を構え直し、フェンサーへ銃口を向けた、回避行動を取ったがその先にもソラが準備していた。フェンサーは、焦り始め降下機動が上手く取れずにフラフラしながら落下していった。
「足をついたな、ソラ、いまだ撃て!」
2人は、100mm徹甲ライフルを発射、弾は次々と命中し、フェンサーの機体はボロボロと崩れていく、立つだけで必死だった、最後にアキが刀を抜き、フェンサーにトドメを刺した、自分が殺したと言う、見慣れない、生々しい光景にアキはとてつもない吐き気に見舞わされた。
「はぁ…はぁ…オサムの所へ行こう…」
「分かった、無理しないでね」
誰かを助ける為には誰かが犠牲になる…難しい




