第三十九話 side story 名も無き兵士達 no.2
ライカは死亡し第16防衛中隊は撤退を余儀無くされる、全員は撤退出来ない、その時の隊長が下した判断は…
ベース001 国連防衛軍総司令部は反国連軍の猛攻を受け、混乱している、この話はその混乱の中から生まれた物語
1月29日 襲撃当日
-F区画 第16防衛中隊-
ウォルター隊長
ライカの死を見届け、立ち上がるウォルターの気持ちはモヤモヤしていた、「俺の指示のミスだ」そう思い、指示出しを渋っていた、過ぎてゆく時間と仲間が死ぬかもしれない状況は変わらず、士気が少し下がって来ていた頃だった、爆音と共に基地全体が立っているのもやっとなほど大きく揺れた。
「うわぁ!隊長、大丈夫ですか!?」
「なんだ今のは、HQHQ聞こえるか!?…ダメだ返事がない!」
「なんなんだ…うっ…母さん…」
(まだ19か20の歳だったな、俺がこいつらを守らねえと、しっかりしろ、ライカに笑われる)
目の前で自分より歳下の若者が戦争に巻き込まれている、この歳で死を覚悟するような狂気的な状況に、ウォルターはなんと声をかければいいのか分からず、ただ励ます事しか出来なかった。
「大丈夫だ!深呼吸しろ、そうだそうだお前は出来る人間だ」
「…はい」
(自分の家族がこうなら、俺は今頃おかしくなってるな)
敵部隊が弾幕を張りながら、徐々に近づいてきた。さっきよりも数が多くなっており、中には無反動砲を担いでいる兵士も見えた。
『HQ…より各…隊へ…ミサイル…撃を受けた、損害…明!』
HQから無線が入ってきた、雑音であまり聞き取れなかったが、大量のミサイルがベース001の地上に着弾したと言う報告だった、さっきの揺れがその爆発によるものと分かり、外がどういう風になっているのか、想像するまでも無かった。
「敵の野郎…ちょっとは気を遣ってくれよ!」
「F区画が堕ちるのも時間の問題か」
ウォルターは部下達の顔を1人ずつ見た、自分の人生を投げ捨ててまで、真っ直ぐに戦う青年達に思わず脱帽してしまいそうなほどだった。
「こいつを持ってろ、俺はライカのLMGを持つ」
ウォルターは自分のアサルトライフルを部下に持たせ、ライカの持っていたLMGとマグナムを装備した、まるで覚悟を決めたような表情で部下を見ていた。
「この後はどうしますか」
「まだ敵は撃ってきている、お前たちはF09ゲートまで後退しろ、部隊がまだ居るはずだ」
「隊長は」
「俺は時間稼ぎだ」
「そんな、一緒に後退しましょう!」
「ここで皆下がればその分追い込まれる、お前たちは後続と合流しろ、ここはベテランに任せてくれ」
武器を構え、立ち上がるウォルターを部下は引き止めようとしたが、ウォルターはそれを振り払った。
「今ここでお前らが死ねば、その後の人生全て棒に振ることになる、そんな勿体無い事させねぇ、最期ぐらいカッコつけさせてくれよな!」
バチュン!と、弾がウォルター達の頭の間をかすめて行った、ウォルターは部下を押し倒し、LMGを敵に向けた。
「もういい、お前ら行け!」
「っ…!?」
部下が見たウォルターの背中は、まるで自分の親父を見ているような光景だった、自信たっぷりの顔で歩き出すウォルターを誰も止めなかった、いや、止めることが出来なかった、部下が後退した事を確認したウォルターは最後の仕事に取り掛かる。
「今だ、バカやろうぜ」
ウォルターはライカのLMGをフルオートで発射、弾薬ベルトは旗の様になびき、金色の薬莢は祝福をしているかのようにエジェクションポートから飛び出した。
「なんだあいつ狂ってるのか!?撃て!」
あまりの狂気ぶりに、敵は混乱、数名が被弾し死亡した。
「うっ…!まだまだぁ!」
敵の弾はウォルターの身体中に命中、倒れそうになるたびに足を踏ん張り耐えた、だがそれも長くは持たなかった、弾がプレートキャリアを貫通、遂にウォルターは倒れてしまった。
「はぁ…化け物め、死んだか?確認に行くぞ」
(へへっ…最後の大馬鹿だ…ぜ)
ベストについていた手榴弾を取り、ピンを抜いた、出血多量でそれが精一杯の悪足掻きだった。
「まだ息があるぞ、撃て」
「悪く思うなよ」
「それは…どうかなぁ?」
ウォルターの手元にある手榴弾を見た敵隊員は、思わず銃を落としてしまった、鳥肌が立つほどの笑顔で手榴弾を突きつけた。
「へへっ…惜しかったなぁ…」
「ぐっ…!こいつ…!」
手榴弾を手から放した途端、通路いっぱいに爆風と衝撃音が響き渡った、それでも部下達は止まらずに後退を続けた、汗なのか涙なのか、だんだんと前見えが見えなくなっていった。
1月29日 F区画
第16防衛中隊は敵と遭遇し交戦を開始、戦力差があったものの奮闘した、最後は5名の隊員を残し、隊長は死亡した。
ウォルター中尉 戦死
通路の隅で、ライカとウォルターのドックタグが仲良く重なっていた。
どうでしたか?ちょっとガン◯ムみたいな感じの要素を入れてみました笑 また思いついたら作ろうと思います、良ければご覧下さい!




