第三十七話 正夢
偵察部隊がキラーホエールと接触、反国連軍はそれを合図にベース001に猛攻を仕掛ける
「積乱雲だ…これは鯨のやつか?本部こちら120第偵察部隊、積乱雲を捕捉、そちらでも捉えてるか?」
「こちら本部、レーダーは捉えている、怪しい動きはあるか?」
「いや、特にない、鯨では無い可能性の方がたか…うわぁぁぁ!」
レーダーから第120偵察部隊の信号が消えた、それと同時に各地のレーダーに敵部隊の反応がでた、なにがなんだか分からなくなるほど大量の反応が一気に広がった。
「第120!司令!」
「距離と数を報告!」
「およそ400km!数は不明!全軍集結している可能性すらあります!」
「総員!第一種戦闘配置!要塞都市ラトナ、戦闘体制に移項、全市民に避難勧告を!」
ベース001からサイレン音が鳴り響いた、それに合わせ、ラトナの信号機などは全て赤色に代わり、至る所からミサイルランチャーや180mm単装砲、2連装対空機関砲など大量の迎撃設備が生えてきた。
「敵、要塞都市の変形を確認」
「今更遅い、オルカより地上部隊へ、MLRS発射せよ続いて自走砲も射撃開始だ」
反国連軍長距離後方部隊はMLRSや自走砲での攻撃を開始、ロケットやミサイルのバーナーで、星空のようだった。
「おい…あれまさか…」
「爆撃だ、逃げろぉ!うがぁ!」
「J603!J603!応答しろ!東方面から爆撃です!」
ロケットや爆弾は次々に命中、モニターから映し出されている、映像が次々と途切れていく、途切れるたびに職員は恐怖を感じ司令部は喧騒で溢れていた、だがそれを唯一無言で見ていたのはホリコシ司令だけだった。
(こんなのは序の口だ、奴ら白兵戦を挑むつもりだな)
「白兵戦闘の準備をしろ、地下第一隔壁から第三隔壁までを全閉鎖」
ベース001は護りの体制に移行した、第一隔壁から緊急閉鎖していき、逃げ遅れた人も数人発生してしまった。
爆発の音が響く中、外で警備している兵士の額には冷や汗が溢れていた。
「状況が掴めない…どこからくる…」
パシュッ!という音と共に頭から血が飛び散った、それと同時にガスマスクを被った黒ずくめの部隊がベース001のゲートB033を爆破、一個大隊が一気に雪崩れ込んだ。B区画防衛部隊はゲート033周辺に集結する。
「どこから侵入を許したんだ!数がすごいぞ!」
『B区画に敵が侵入、各員警戒せよ』
(まずいな…わしのした事が、敵の展開が早過ぎる)
「敵部隊、再度領内へ進行中、ラトナ防衛設備は現在92%稼働中です」
反国連軍は事前に防衛設備の把握をしており、強襲部隊はその包囲網を掻い潜り、後方からの戦車隊や歩兵部隊の援護によって、ほぼ損害ゼロで001まで進行していた、前代未聞の作戦でホリコシ司令は焦りを感じた。
「こちらM区画!敵がすぐそこまで来ていて、装甲車も来ています!」
「第019監視所、通信途絶えました!」
「アーマーフレームだけは死守しろ!あの鯨が来るまで持ち堪えるんだ!」
アキ等第303技術戦闘隊は、AFに乗り待機していた。アキは味方がやられていく無線を聞きながら、グッと操縦レバーを握り締めながら出撃したい気持ちを押さえ込んでいた。
(早く助けに行かないと…!このままじゃ無駄死にするだけだ!)
「隊長、俺もう!」
「待てオサム!今出てやられれば死神と鯨はどうする!あいつらは間違いなくこっちに来てるんだぞ!」
「ぐっ…くそっ!」
反国連軍は以前として猛攻を続けている。非戦闘員や女性兵士、未成年兵士までも容赦なく射殺していった、001は必死な抵抗を見せるが、幾度となく戦闘を掻い潜ってきたベテランになす術はなかった。
「非戦闘員も射殺対象だ、敵アーマーフレームも見つけ次第破壊しろ、投降を許すなよ!アリの巣一つ見逃すな!」
「通信ケーブルを破壊しろ」
扉を蹴り破り、火炎放射器で通信ケーブルを焼き切っていく。
「B区画の通信設備が破壊されました!ほぼ孤立状態です!」
「ぐっ…B区画を破棄、全隔壁を緊急閉鎖!」
B区画だけでなく、別の区画でも反国連部隊を確認。各区画から撤退の要求が止まらなかった、今までの国連防衛軍の現場以外の兵士は自動で敵を補足しボタンを押すだけの簡単な作業の様な戦い方だったため、今回のような攻勢は常軌を逸していた。
「鯨です!正体を現しました!」
積乱雲の中から鯨の鳴き声と共にキラーホエールが出現してきた。
「レールガンはまだか!」
「あと30分はかかります!」
『鯨が出現、アーマーフレーム部隊は速やかに発進せよ!』
「303行くぞ!」
セト隊長の掛け声と共にアキ等はAF用カタパルトに接続、火花を目一杯散らしながら出撃した、発進後にオサムが見た光景はあの時の"夢"と同じだった。
「火の海だ、あの時の…全く同じだ」
オサムが病室で見た夢…




