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ひこうき雲  作者: 三毛
第五章 絶望の再来
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第三十五話 大人

セトの元にベース398と968陥落の報告が入った、戦いのテンポに追いつかないセトはホンダを飯に誘う。

「セト、最近のあいつらの調子はどうだ」


「3人で仲良くやってるよ、俺たちはあんまり口を出さないようにしている」


「新型機はどうだ?」


「まだシミュレーターでしか乗っていない、だがあれでは勝てない、別の機体がいるな」


ホンダ艦長は写真を差し出した、火の海からこちらを見ている悪魔の様なAFが映り込んでいた。


「ベース398の写真だ、このアーマーフレーム…」


「死神だな…こいつは追加ブースターを付けただけじゃ勝てないんだ…!」


「ナナセに聞いておく、鯨の行方だがこちらへ向かっている可能性があるみたいだ」

(居酒屋に来てまで仕事の話か…相当焦ってるんだな)


第9艦隊撤収後にベース398は反国連が制圧していた。7日前、国連防衛軍はそのベース398奪還作戦を決行、地上部隊及び航空戦力の数およそ2万の大攻勢だった、序盤は順調で約9時間後には、奪還に成功した。 その2日後、ベース398付近で鯨の鳴き声と積乱雲が発生、迎撃部隊が出撃したが壊滅、ベース398は半日も立たずに壊滅、その後ベース968からも「積乱雲発見」と報告があったが6時間後には壊滅した。


「本当に勝ってんのか…俺たち」


余りにも早過ぎる展開スピード、本当ならこんな居酒屋なんて行くなんて考えられない、ホンダはセトの言葉に何も言い返せなかった。俯くセトを見ながら酒を飲み、どう励まして良いのか考えることしかできなかった。


「ユーマ…」


「ユーマ?125のか?」


ホンダは一枚の写真を取り出した、そこにはナナセが見た写真と同じ、アキ、オサム、ソラ、ユーマ隊長がFG15戦闘機と一緒に写っている写真だった、戦前、アキ達がまだ入隊する前の写真で、4人ともとても幸せそうだった。


「覚えてるか?時々アーセナルに来てた」


「あいつか、忘れるわけねぇよ、模擬戦で何回撃ち落とされた事か」


ユーマ隊長はアキ等が入隊してからも、教官としてよくアーセナル部隊に合流していた、セトはその時に教育を受けた隊員の1人である。セトはかなりの腕だが、それでもユーマ隊長には敵わなかった。


「確か、あいつら3人はユーマの直属の部下だよな、どーりでスキルがあるわけだ」


「ふっ、よく言われてた、「あいつらの目は透き通ってる、もう雲一つない快晴さ、操作技術もお前ら海軍より上じゃねぇのか?」ってそもそも、ユーマ自体腕は折り紙付きだからな、実際戦死する前、あの3人を護るために9機も撃墜して」


「……」


机の上のジャッキから、汗の様に水が滴っている、2人とも喋らない空間で、店員の掛け声と店のオシャレな音楽が響き渡っていた、しばらくするとホンダが顔をあげた。


「もういい!飲め飲め!プライベートで、仕事の話なんて!」


「そうだな!ワハハ!」


--ベース001 G164区画


夜、アキ等3人は基地を運動がてら散歩していた。余りにも広い基地なので、夜空がとても綺麗だった。雲一つない快晴、早期警戒管制機の航行灯がホタルの様に点滅していた。


「ホタルみたい」


「ん?あの飛行機か」


「子供の頃思い出すな、夜、3人で避難所からよく空を見てたよな」


◯(回想シーン)


約8年前、反国連軍の爆撃も終わり復興が始まっていた。冬の次期で、かなり寒かった。


「あれ、オリオン座?」


「よく見なよ、ヘリコプターがそれっぽく飛んでるだけ。オリオン座はあっちだよ」


「飛行機怖い…」


ソラはアキの後ろに隠れ、ひどく怯えていた。数日爆撃は無かったが全く慣れる気配はなく、飛行機が通る度に物陰に隠れてしまう癖がついてしまっていた。アキとオサムはその度に慰めていた。


(回想終わり)


「あれから大きくなったよな、俺たち」


「身体だけだよ」


戦争が始まってから一年が経とうとしていた、戦況はこの数ヶ月で大きく代わりAFや超兵器と呼ばれる物まで次々とと出てくる、周りの状況や戦況に次々巻き込まれる3人はリラックスし自分の事を見つめる時間が無く、ただ身体の衰えを感じているだけだった。アキが自分の手を見ながら子供の頃について話した。


「俺さ子供の時に見た大人ってさ、憧れだったんだ。なんでも出来て身体も大っきくて、すごくかっこよかった。でも今、自分が大人になってみて、じゃあその人たちになれたのか?って言われると何にも答えられない…俺は正しいのかな」


「正しいも何も今は仕方がない、軍人になった以上は戦わないと、だけど子供の頃は助けられる側だったけど、今は助ける側、それが大人としての役目だと思う。今日の昼のソラみたいに小さな命を助けられる様に俺は戦う」


「人それぞれ出来ることがある、それをしっかりやっていれば私はそれでいいと思う、無理に追い込む必要ないよ」


アキは嬉しかった、あの日初めて出会った時からの2人の成長ぶりに、まるで保護者になった様な気分だった。アキはソラとオサムの首元を引き寄せて夜空を見上げた。


「俺は敵味方関係無く、みんなで綺麗な空を見たいな!」

少し説明を長くしてみました!

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