第三十一話 自壊
無人機の走攻守に苦戦を強いられ、ソラは焦りを感じている。それに釣られ皆までもが動揺を隠せなかった。
「ぐぬぬ…」
「ソラ!落ち着け!」
ソラは聞く余地も無かった、常に役に立っていないと感じてしまっているソラには、ここで清算をしようとしていた。
「AF-02xのハンドアームが破損!このまま戦わせる訳には!」
「ソラ!下がれ!」
「嫌だ!私は…わたしは!!役に立ちたい!アキくんやみんなの!」
ソラの目には大量の涙が溢れ出ていた。
「おいっ!」
「待て、お前まで焦り始めてどうする」
オサムの機体の動きはフラフラしており、側から見ても焦っている動きだった。
「セトたいちょ…」
「仲間を失いたくなければ、冷静であれオサム」
「…了解です」
「ソラ!一度離れられるか!オサムが今のうちに射撃する!」
「うぅぅ…!」
バキバキッ!
ソラのAFのハンドパーツの出力は既に180%をオーバーしており。破損したパーツが地面に散らばっていた。
「ソラァ!聞こえるかぁ!」
「うぐぐ…はっ…!はい!」
「今からオサムが射撃する!離れられるか!?」
「わっ分かりました!離れます!」
ソラは少し正気を取り戻し、無人機を蹴り飛ばした。その時の衝撃でソラのAFの右腕は、無惨にも引きちぎれてしまった。
「ゼロ距離射撃だ!」
オサムは一気に距離を詰め、零距離で120mm砲を発射、頭部を破壊させた。
「山川重工のヘリです!着艦許可を求めています!」
「各艦艇につぐ!状況が整った艦艇から順に、無人機と交戦しているアーマーフレーム隊を援護せよ!」
(ちっ!こんな時に!)
「着艦を許可しろ、そのまま直で艦橋に上げろ」
ヘリから降りてきたのは、山川重工の部長クラスの役員だった。
(普通はメカニックと社長じゃねえのか、舐められてんなウチ(国連防衛軍)は)
「いまどんな状況で?」
ズカズカと上がり込んできた、ムスッとした顔で辺りを見回している。
「えーえー、あんたらあのゴミ(AF-62AI)どうすんだよ」
艦橋にいた1人の兵士が怒りを現わにしながら近寄って行った。
「ゴミ?ですか?YKHIにゴミなどありませんが」
「おいおい落ち着け…まぁあれ、止めてくれよ、こっちは基地を制圧してすぐなんだよ」
「ナナセ様、緊急停止信号の方は?」
「押したわ、でも止まらないの…!」
ナナセは怯えており、少し震えていた。
「はぁ…なるほど」
「さっさと止めろ!」「そうだ!そうだ!」
「今回のAF-62AI、我々の独断ではなく、あなた方UDFの要請と伺っておりますが」
「うっ…」
「はぁ…つまりあんたら(山川重工)は、あのゴミを止めるつもりは無いんだな」
「緊急停止信号が拒否されているのであれば、止める術はほぼございません」
「わかった、なら居る意味ないよな、帰ってくれ」
ホンダ艦長は立ち上がり、山川重工役員を睨みつけた。
「いえ、これはデータで」
「帰れ、…連れて行け」
「はっ!」
兵士は腕をガッツリ掴み引っ張って行った。
「おっ…おい!やめなさい!こんな事して許されると思っているのか!」
「こっちは人が死ぬんだよ、山川さんよ、ナナセ大尉貴女にも責任があります。二週間、懲罰です」
「はい…」
ヘリはアキ等の上空へ到着、地上部隊とパワーパックの詰め替え作業を開始した。
「ゆっくり降ろせよ!そうだそうだ!」
(早く…!詰め替えしてくれ!)
アキはうずうずしている、この間にもオサムが無人機の気を引いてくれていた。
「私のは良いから!アキくんのアーマーフレームを先に!」
「ソラ…」
アキのAFに一つパワーパックが取り付けられた。
「取り付いたぞ!動けるか!?」
AFは再起動、ゆっくり立ち上がる。
「やってみます!…動きました、25%です!」
「よし!自分で入れれるか?ソラ隊員の機体にも取り付ける!」
「分かりました!ありがとうございます!」
無人機は武器を拾い、オサムに向かって射ち上げた。
「動いたか!うわっ!」
「オサム!」
「へへっ…しくじった…コックピットに穴が空いてやがる」
「ヴァルキリーに戻れ!あとは俺がやる!」
オサムの機体から黒煙が吹き出していた。
「そうさせてもらう…だがこれだけはぶち込んでやる!」
120mm砲を構え、無人機をスコープに捉えた。
「いい加減落ちやがれ!」
オサムは発射したあと、力尽きるように森林へ落下して行った。弾は無人機のバックパックに命中、大きく機動力を削られた無人機は、ソラの方へ走り出した。
「撃て!撃て!」
「戦車の弾が当たってるのに突っ込んできやがる!」
無人機は、ソラの機体をがっちりと掴んだ。
「なに!?動けない!」
《WARNING SELF DESTRUCTION》
「あいつ自爆する気か!ソラ脱出しろ!!」
《5.4.3…》
「んんー!!!」
ソラはレバーを目一杯引き上げ、AF-02Xから脱出した。
大きな炎と土埃の中にAF-62AIとAF-02Xは包まれている。
「なんて最期だ…」
「両機のシグナル、ロストしました。状況を終了します」
3機ともほぼ全損、この先どうしていくのか…




