第二十三話 邪悪
アキやソラにも新機体が導入され、それと同じタイミングでオルカにもMF-02ERが配備、第7機動部隊と交戦する。
「オルカ大尉、これを」
「なんだ?」
部下が見せてきたのは一枚の写真だった、そこに写っているのは国連防衛軍SAF-01Lだった。
「これ、今までのデータに無い機体です」
「だからどうした、お前はデータで敵を判断するのか」
「いえ、そんな事は」
「なら撃墜するまでだ、俺も今は新型だからな」
オルカの後ろには肩部に、MF-02ER Leviathanと書かれた機体が置かれていた。
「全長20m、スラスター増設、ジャミング機能追加、前のMF-01より格段に戦闘力は上がってる、武器もレーザーライフルが追加されているぞ」
「これで第6艦隊潰しに行くんだろ」
「いや、今回は物資輸送中の第7機動部隊だ、海上には友軍の第23巡洋艦隊が護衛に来ている」
「ちぇっ、ただの腰抜け連中かよ、足引っ張りやがったら沈めてやる、今回は単機で出る、お前らは見学してろ!」
「了解!」
『MF-02ER オルカ大尉、発艦始め!』
「スレイヴ隊!オルカ出るぞ!」
オルカは新型と共に降下していった。
「こちら第7機動部隊旗艦イフリート、反国連艦隊へ告ぐ、そちらの艦隊は我々のコースを妨げている、直ちにコース上より離脱されたし」
回答はなかった。
「応答ありません」
「再度通告する!こちらは…」
反国連艦隊の艦が一瞬赤く光った。
「撃ってきたぞ!」
「レーダーに反応あり!上から接近中!」
「テメェらが道を譲れ!」
「バカな!ここは非戦闘海域だぞ!」
オルカはレーザーライフルをイフリートに向け発射、主砲は熱で溶けていった。オルカが艦橋を通過する際、赤い死神が見えた。
「死神…第6が言ってた奴か!」
「1番砲塔融解!」
「対空砲はまだか!」
「まだロックできません!ジャミングされている様です!」
「いいから撃ちまくれ!」
第7機動部隊の艦艇は対空砲を発射、オルカはそれを余裕の表情で回避し、レーザーライフルを次々と命中させていった。
「ええい!ミサイルを撃っても構わん!撃て撃て!」
「水柱で敵機が確認できません!」
「おら!焦ってんの丸わかりだぜ!」
オルカは水柱を切り裂き、護衛艦の艦橋へレーザーを撃ち込んだ、撃ち込まれた護衛艦は艦橋が溶解し、赤く燃え広がった。
「護衛艦アマノ大破!通信できません!」
「まだそこにいるぞ!撃て!」
「しかし味方艦が!」
「どうせ沈むんだ!撃て!」
「……了解」
イフリートは、なりふり構わず炎上中の艦艇に発砲した。
オルカは流石に予想外の行動に驚きを隠せなかった。
「こいつ、味方艦に攻撃をしやがった」
ワハヤ准将は、死への恐怖と特殊部隊という立場にありながら第6艦隊の方が上であることに、自分のプライドが許せず、まともな指示が出せる状況ではなかった。
「アマノ轟沈しました…」
「…」
「准将!ご指示を!」
「はぁ…はぁ…」
足がガクガク震え、立っているだけで精一杯だった。
「お前みたいな奴が!大嫌いなんだよ!」
オルカはイフリートめがけてレーザーを発砲、イフリートは弾薬庫に引火し、大爆発を引き起こした。
「旗艦が沈むぞ!」
「准将!退艦しましょう!」
「私…私は…」
もう動ける様子では無かった。
「もういい!行くぞ!」
兵士が艦橋から出た途端、火の手が艦橋へ回り、イフリートは最後の幕を閉じた。第7機動部隊は撤退を開始、いつもならオルカも仕掛けていくのだが、今回は見て見ぬふりをしていた。
「あぁ言うやつがいるから、戦争が無くならねぇんだ、こちらオルカ、今から帰投する」
第7機動部隊残存艦艇は第7艦隊と合流し、実質第7機動部隊は解体された、新型機の情報とレーザー兵器の情報は、直ちに国連防衛軍本部から全軍へと通達された。
同日 セト隊長がアキ達の元へやってきた。
「隊長!訓練の準備出来ています!」
「あぁ、そんな事より、先程第7機動部隊が攻撃を受け実質解体された」
「えっ…」
「しかも旗艦イフリート艦長 ワハヤ准将は味方艦を攻撃したそうだ」
「嘘だろ、何故」
「敵機が味方艦に張り付いていたそうだ」
「司令官の自覚ないのか!」
「ちなみに肝心の敵機は、レーザー兵器持ちの新型で赤い死神のエンブレムだ」
「相手も新型か」
セトが見せてきた写真には、MF-02ERが映っていた。
「こいつと戦う事になるんだな」
「そうだ」
「俺たちは、今からベース034へ向かう、そこでシミュレーションと実機訓練でスキルを磨き、相手の上を取る!その為にお前たち、新型機体が必要だ、しっかり整備していつ有事になっても大丈夫な様にしておけ」
「准将は味方を攻撃、相手は新型、最悪な情報だな」
アキは歯を食いしばった。
「こんな腐った戦争…早く終わらせてやる!」
国連防衛軍上層部は闇が深い…




