第十六話 復興
疲れ切った艦長の元へ来たのは、ベース113の設備増強計画だった、トクマツを戦闘に巻き込みたくない、その一心だったが
『トクマツからの中継です、現在トクマツでは救助活動が行われており…』
「メディアも復興手伝ってくれよなぁ…」
ホンダ艦長が椅子に深く座り込み、疲れた顔で独り言を言っていた。
「ホンダ、大丈夫か、これコーヒーここ置いとくからあんま力むなよ」
「あぁ、ありがとうカリヤ」
(第3艦隊壊滅、ベース398を含め8個の基地が放棄、そして第6艦隊も一時は90%の損傷、空母は2隻も沈んだ。そしてその艦隊の指揮を俺が取っている)
「んなぁぁぁぁ!考えるのやめだやめだ!」
『艦長、第7機動部隊より入電です』
「わかった、すぐ行く」
艦長としての責務を全うする為にすぐに気持ちを切り替えた。
「ホンダ艦長、お疲れの様だね」
「えぇまぁ…ワハヤ准将はお元気そうで何よりですな」
「さっそく本題だが、我第7機動部隊は第6艦隊の所属している、ベース113へと向かう」
「しかし、我々がベース034へ向かうのでは?」
「大統領府はここを重要防衛拠点とするようだ」
「またここを戦場にするつもりですか!!」
「まぁ待て、トクマツは土地的にも価値がある、そこでだ、いまトクマツでは設備増強計画が進んでいる」
「それでは敵を煽るだけでは?」
「抑止力だよ、これ以上は言わなくても分かるだろう」
「分かりました…」
「約1ヶ月後に敵基地への進行を計画している様だ、またベース113に着いたら報告する」
「了解しました」
通信を切るなり、その場に置いてあった椅子を蹴り飛ばした。
「あのボケが!」
3日後 いまだに捜索活動が続いていた。
「おーい!姉ちゃん!こっちの瓦礫頼むよ!」
『はーい!今行きます!』
「いやぁアーマーフレームがあったら楽だねぇ、ありがとうね」
「いえいえ!」
ソラは一生懸命に復興の手伝いをしていた。
「ソラ、変わったよな」
「うん、俺もそう思う」
「お前がアーセナルで死にかけてから気持ちが変わったんだろうな」
「はは…」
この現状も3週間目になるとかなり落ち着き始め、街は復興ムードへと切り替わり始めた。
『総員、15:00までにブリーフィングルームへ』
「なんだろうね、ねぇアキくん」
「ん?んー何か聞いてる?」
「いや?何も」
扉を開けるとヴァルキリーの乗組員達とホンダ艦長がいた、正面モニターには、大きな大砲のような写真が映っていた。
「今から作戦を伝える!我々は、この鯨の鳴き声がする大型航空機に苦しめられている、そこでだ!約1ヶ月後!第7機動部隊と合流、敵が開発している88cm自走レールガンを奪取!それを空の鯨に向けて発射し撃墜すると言う作戦だ!いま映っている写真は、我が軍の戦車部隊が撮った物だ、あいにくその部隊はその新型に翻弄され全滅した。これを奪い必ずあの鯨を撃ち落とす!」
(くそぉあのワハヤ准将めぇ!)
ホンダ艦長は怒りの顔で、やけに気合が入っていた。みんな何かあったなと察したが、いつもの事なので相手にしなかった。
夜19:00
空は暗くなり、海が紺色に変わった頃。水面を唸らせて艦隊が入港してきた。
『第7機動部隊!入港!』
「なんだよ〜また艦隊がデカくなるのかぁ」
アキ達は、格納庫でAFの整備長と一緒に整備をしていた。
「まぁいいじゃ無い、艦隊がでかい方が勝率も高いさ」
「そういやぁあんたらアーマーフレームよく壊してくれるなぁ、最近あんたらのだけ、傷まみれかボロボロなんだよ」
「げっ…すみません…」
「私もですぅ…」
「まぁいい、あんたらぐらいだよ、ここまでみっちり使ってくれるのは、その分整備にも力を入れんとな!」
「いつもありがとうございます!」
「そう言えば、強く握りながらレバーを倒すと、パワーが上がりました、リミットライン?って奴を超えてました」
「あれはレバーを強く握って前に倒すと出来るんだ、余りにも負荷が掛かるもんだから、あんまり教えていないんだよ、まぁ緊急時にでも使ってくれ」
いい事を聞いたアキはにこっと笑いながら、ナットを絞めた。
「なるほど!よし、整備終わった!整備長、また今度!」
「おうよぉ〜」
走って甲板に駆け上がるアキ達を見送り、整備長は格納庫で1人椅子に座った。子供の様なアキ達が可愛くて仕方かった。
コーヒーを一杯飲み、少し微笑んだ。
「俺にはぁ、ちょいと若過ぎるなぁ」
ホンダ艦長は、実は全然寝てません。




