第十五話 記憶
押され続けながらもなんとか耐え凌いだ三人、その先には悲惨な現場が待ち受けていた。
(どうする!?どうすれば奴に勝てるんだ!!)
「ほらほらぁ!どんどん民間人にも被害が出るぜ!?」
オルカは機関砲をシェルターへ向けた。
「やめろ!それだけは!!」
アキの目の前でドドドドド!と言う銃声と共にシェルターが穴だらけになった。
「あ…あぁ!やったなぁ!!」
アキはコックピットの操作レバーは全力で握り締め、限界まで押し込んだ、するとレバーは限界の位置を超え、赤いラインまで倒れ、オルカの機体を弾き飛ばした。
「なんだ…?!いまのは!」
「なんだこれ、リミットライン?こんな機能あったのか?戦闘機のアフターバーナーみたいだ…これで勝てるのか…!?」
「うぐぐ…このクソ野郎が!」
オルカはアキのAFの腕を掴んだ。
「俺はスレイヴ隊オルカ大尉だ、貴様の所属を答えろ!」
「俺は第303技術戦闘隊、アキ准尉だ!お前をここで倒してやる!」
「やれるもんならやってみろ!」
オルカはアキを蹴り飛ばした、アキのメインパネルに警告が表示された。
「右腕が損傷!?まずい!」
刀を左腕で抜き、構える。
「片腕で何が出来る!ここがお前の死に場所だぁ!」
「ふぅ〜…今だ!」
オサムの発射した弾が、オルカの機体に命中した。
オルカは少しよろけ、少し時間を稼ぐことができた。
「ぐおぁ!なんだ!」
「チッ!盾に弾かれたか!」
「邪魔をするなぁ!」
オルカは折り畳んでいた滑空砲を展開し、即座に射撃位置を特定、発砲した。
「オサム避けろ!」
「うわっ!この距離を正確に撃ってくるのか!」
アキはオルカが一瞬背を向けた瞬間、腰についているマイクロミサイルを発射した。弾は命中し装甲の一部が剥がれた。
「ちっ!俺とした事が!油断しちまった、スレイヴ隊!ここは一旦引くぞ!どうせ基地も街もボロボロだ!」
「艦長!敵機が撤退を始めました!」
「逃すな!ミサイル発射!!」
「めんどくせぇ、キラーホエール聞こえるか!190mmで蹴散らしてくれ!」
「こちらキラーホエール、了解各機へ通達、目標はトクマツ及びベース113、射撃開始、繰り返す射撃開始」
キラーホエールは190mm砲を発射、次々と艦隊や民家に着弾した、オサムはAP弾からAPFSDS弾に切り替え発砲するが全く届かなかった。スレイヴ隊及びキラーホエールは戦線を離脱、残ったのはトクマツの悲惨な現状だった。
「また…まただ!どうすることもできなかった!何の成果も得られなかった!」
「高度差で相手への脅威度がガラリと変わる、これは追加装備を検討か…山川重工業へ向かうぞ」
ナナセは新型装備を検討、山川重工へ向かった。
「こちらヴァルキリー状況終了だ、そのまま民間人の救助に当たってくれないか」
「了解…」
数時間後
『現在、死者及び行方不明者は8000人オーバー!』『警察と消防の展開が遅れています!アーマーフレームを緊急配備!』『重症者のヴァルキリーへの受入準備完了!』『トクマツB地区にて被害甚大!増援を要請する!』『こちらも誰か寄越してくれ!』
ヴァルキリーのCICはとても騒がしく、艦内は無線のガヤと駆け足の音で一杯になっていた。
「アキとオサムはC地区を担当!ソラはB地区へ向かってくれ!」
「了解!」
彼等が現地へ到着すると、ポツポツと雨が降ってきた。
黒煙と雨雲で辺りは真っ暗になった。
「お母さん!!お母さん!!」
「!?子供が1人…」
ソラは泣き喚いている子供を見つけると、自分の過去の記憶と照らし合わせ、見て見ぬふりなど、出来なかった、気づくと身体が勝手に動きその子供前に立っていた。
(まずい!心臓が張り裂けそう…)
気付けばソラはその子を抱きしめていた。
「もう大丈夫だからね、ごめんね、ごめんね…私、誰も守れなかった」
雨足が強まり、もはや自分の涙なのか雨なのかよく分からなくなっていた。
「そこのパイロットの姉ちゃん!大丈夫か?その子を避難所まで連れて行ってくれ!」
「分かりました…!」
「あっそうそう、あんたのおかげで助かったよ」
「え?」
「そこの機体、あんたのだろ?さっき俺たちの為に戦ってるのこの目で見てたぜ、ありがとうな!あんたはこの街を救ったんだよ、復興は俺達に任せな!」
「ありがとうパイロットのお姉ちゃん!」
そこには安心し切った子供の顔があった。
「えへへ、じゃあいこっか!」
ソラは子供と手を繋ぎ一緒に避難所まで向かった、寂しくならないようにずーっと話しかけていた。
「あのロボットかっこいいね」
「あのロボットって結構酔うんだよぉ?」
「んー、乗ってみたいけど気持ち悪くなるのやだ!」
「アハハ、それが正解!!」
ソラ、アーマーフレーム置き忘れてる。




