第十二話 真実
アキは敵から聞いた言葉が頭から離れなかった、今までの自分は正義だったのか。
ソラを看病していると誰かが部屋をノックしきた、カリヤ医師だ。
「ソラちゃん元気かい?うん、安定してるね」
アキはカリヤ医師の顔色を伺っていた。
「カリヤさん、聞きたいことがあります」
「んー?」
カリヤはソラの容態確認しながら返事をした。
「8年前…国連防衛政府が…」
「──それをどこで聞いた」
カリヤは手を止めアキに問いただした。
「赤い死神のパイロットです、それが原因だと…自分のしている事は正義なのでしょうか」
「ならどうした、…お前達がまだまだガキの時、湾岸戦争があったのは知っているな?結局あれは宗教や貧困による大国への恨みなんだ、設備増強計画及び国連防衛軍設立はそこから始まったんだ」
「ですが、彼等は無関係の…」
「反対勢力はゲリラ的活動をしてたんだ、生身のままで行くと攻撃を受け、全滅させられた事案が発生した、そこから機甲部隊や対戦車兵を配備して交渉してたんだ、だが反対勢力はそれを使い弾圧と言って非難していた、もちろん交渉される側はそう思ってしまった、なんせ交渉人の後ろには戦車がいたからな、そこで何回か戦闘が起こり、その戦火が拡がって7年前の様になったんだ」
「しかし…それは余りにも…」
カリヤは話を遮るように立ち上がり、アキに銃を向けた。
「何が言いたい、お前はどうしたい、今からアーマーフレームに乗ってこの艦隊を壊滅でもさせるか?お前の夢は報復か?そうならばやると良い、それで平和になるのならな」
「いてっ…カリヤさんやめて…アキくんはそんな事しないよう…」
ソラは目を覚まし、カリヤの腕をそっと下ろさせた、その手は優しくヨロヨロしていた。カリヤはそっと銃をしまった。
「平和に犠牲は付きもの、こんな台詞私はキライだ、でもそれも事実なんだ、殺さずして平和が守れるのか?お前達は実戦を経験してよくわかったはずだ」
「その通りです…」
「誰しも、戦争を好きでやってるんじゃないんだ、守りたい物守りたい人がいる、その為に相手からの脅威に対抗する、敵も味方も同じさ人間なんだもの、アキ、お前にも守りたい物があるはずだ、それも意外と近くにな」
そう言ってカリヤは部屋を立ち去った、アーセナルの火災は鎮圧され落ち着きを取り戻した。アキがソラの方に顔を向けるとソラは笑顔でゆっくり頷いた。
「ありがとう」
「またとんかつ食べに行こうな」
「うん!」
『本艦はこれより!ベース113へ入港する!』
ズタボロの艦隊がベース113へ入港する、港からは漁船や消防タグボートなどが出てきた。
「おーい!大丈夫かぁ!怪我人は病院に連れて行くぞ!」
『アーセナルより周辺船舶へ、御協力感謝します、後部ゲートが破損しているため本艦は直接岸壁へ接岸いたします、周辺船舶の方々は護衛艦艇の支援をよろしくお願いします』
「よぉし!今の聞いたか!急げよ!」
支援活動が始まった、ホンダ艦長はホッとしていた。
「ミイラ取りがミイラになっちまう所だったな」
「アーセナルはどうなるんだろうか」
機関室長はホンダ艦長に今後のアーセナルについて質問した、ホンダ艦長は計器パネルに触れながら、少し悲しそうな顔をした。
「分からない、ここまで損傷が大きいとな…」
「…この艦とは長い付き合いだよ」
「俺もさ」
アーセナルは9年前に新日本の山川重工業で製造された、新造時からホンダは乗船しており、今は二代目艦長を勤めている。ベース113にいた兵士は、その損傷具合を見てどれほどの激戦だったのかを理解し固唾を飲んだ。
「こいつはひでぇ、よくもまぁここまで戻って来れたもんだ」
「おーい!敵のアーマーフレームをアーセナルの隊員が拾ってきたぞ!回収車両を向かわせろ!」
アーセナルは接岸後、岸壁へ敵のAFを卸した、すると力尽きた様にアーセナルは岸壁クレーンへもたれかかった、司令部はアーセナルの処分を命じ、退艦命令が下されぞろぞろと降りてきた、だがみんな岸壁から離れようとはしなかった、艦長が降りてきた。
「ん?お前らどうしたんだ」
「ホンダ艦長!及び旗艦アーセナルの奮闘に敬礼!」
乗組員約280名全員が整列し敬礼した、ホンダ艦長は帽子を深く被り、アーセナルへ敬礼した、アキやオサム、男達は堪えていた涙が抑えられずボロボロと涙が出てきてしまった、ソラやナナセ、カリヤの目にも涙が浮かんでいた。
後日アーセナルの退役式が行われ、総員280名の前で、爆発の音と共にアーセナルは静かに息を引き取った。
ホンダ艦長はアーセナルに向けて呟いた。
「お前がいたからみんな助かったんだ、ありがとうアーセナル」
アーセナルが沈んじゃった( ; ; )




