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ひこうき雲  作者: 三毛
第一章 宣戦布告
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第一話 青空

7年前の戦争で家族や友人を失った3人の青年

7年後、国連防衛軍に所属し兵士になった、目標は平和になるその日まで、また澄み渡った青空が眺める日まで…

今から約7年前、湾岸戦争終結後にこの世の全ての争いを無くし効率よく治安を維持する為に、国連防衛軍が発足された。

──全世界を統合し、一つの軍隊として世界中の治安を維持する

聞くだけなら素晴らしい事だが──、やはり人同士では分かり合えないところも出てきた。「各国の軍隊は各国で管理し、国にあった治安の維持を」と統合反対派閥はそれに反対しており、統合賛成派閥との対立があった。

 反対派閥の主な国は、貧困な国が多く。賛成派閥は金銭的な圧力や政治的な差別や迫害を行った。反対派閥は我慢の限界を超え、ただの喧嘩から暴動へ、仕舞いには治安維持部隊が出動するほどにまで至った。


暴動は鎮圧され、数ヶ月が過ぎた頃

青い空が広がり街には賑やかな喧騒で溢れている。


「ママ見て、飛行機がいっぱい!」


「ほんと、ママ初めて見たかも」


子供が指差した方向には真っ黒のカラスの集団のような塊が飛んでいた。よく見るとエンジンを4発積んでいる爆撃機の様だが、素人が見ればただの黒い旅客機の様にしか見えなかった。


「おい、あれ爆撃機じゃないか!?」


「爆撃機の編隊だ!」


近づいていくにつれてハッキリと見えていく爆撃機に周りが慌ただしくなった頃だった。

風切り音と共に黒い物体が数百個落ちてきた。

無数の爆発音と共に見る見るうちに命が消えていった。


「我々に自由を──、国連防衛軍の行いは到底許されるものではない、これは国連防衛軍の行った差別や迫害の反動だ」


統合反対派閥は反国連軍へと改名し、独立を目的とした戦争を開始、国連防衛軍に対して宣戦を布告した。

開戦の合図と同時に世界中の反国連軍及び反国連派は作戦行動を開始、人口密集地に対してのロケット攻撃や空爆を行った。この戦いで民間人の被害だけでも全人類の三分の一の命が消えた、ある街では死者数だけで32万人を超えた。

 数日後に国連防衛軍は総力戦を実行、ありったけの戦力を投入し9日間の激戦を勝利で収めた。

この戦争で反国連派閥の意見も取り入れ、国連防衛軍への加盟の自由とある程度の治安維持を各国が担当する事になった。


しかし国連防衛派の差別や迫害が完全に無くなることは無かった──。


7年後、1人の青年が青い空に手のひらを飛行機の形に見せてかざしている。


「おい!アキ!またぼーっと空眺めやがって、何考えてんだ?」 


幼馴染のオサムだ。身長は186cmと高く、顔もイケメン、優男で街へ出るとモテモテで帰ってこれなくなるほどだ。


「ん…あぁ今じゃいつ戦争になってもおかしくないからさ、見納めみたいなもんさ。今月に入ってスクランブルだけでも30回は超えてるぜ?これからどうなるんだろうな」


「仕方ねぇよ、以前の戦争が終わってからずっと国連防衛軍と反国連部隊が睨み合ってるからな」


アキ達はその戦争に巻き込まれ家族や友人を失った、もう同じ思いを増やしたくないと言う思いで、国連防衛軍ベース398の第125戦闘飛行隊に所属している。


「何話してんの?私も混ぜて!」


同じく幼馴染のソラだ、サラサラの茶髪で髪には少し古びた髪留めをしている、とても明るい女の子。


「おっこれはこれは、125隊の女神様じゃねぇか」


「ソラ、FG15戦闘機の整備はすんだのか?」


ソラは戦闘が始まる1週間前に、アキ達の住んでる街に引っ越してきた。はっちゃけている雰囲気があるがこの子も辛い過去の持ち主だ。


「もちろんだよ!アキくんこそ、定期整備終わってないって隊長が怒ってたよ!」


「しまった…忘れてた」


青ざめるアキ、今まで整備をサボって何回も叱られているからだ。基地の滑走路を10周、これが尋常じゃなくキツい。1,500mの滑走路を休みなしで走らされた後、ボロカスに言われながら整備するという、地獄の罰だ。


「…ったく、お前って奴は、昔から全く変わらねぇな」


「おい!アキ!それとそこの2人!」


隊長が物凄い大きな声で呼んでいる、恐る恐る振り返ると本当なら怒り狂った顔をしてるはずが、真剣な表情だ。


「ちょっと作戦室に来てくれ、緊急召集だ」


「はっ!」


(緊急招集?おかしいな…スクランブルならとっくに警報が鳴っているはずだ)


不思議に思いながらも3人は作戦室へ向かう。



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