表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【2025.02.15 書籍発売】追放聖女は最強の救世主〜隣国王太子からの溺愛が止まりません〜【受賞しました  作者: やきいもほくほく
二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

35/69

35 ステファンside3

目に焼きついたように離れない金色の髪と赤い瞳。

魅入られたように動けなかったステファンだったがフランソワーズに続いてすぐに歩き出す。

もちろん会場を出て、彼女を追いかけるためだ。

フランソワーズがセドリックと婚約破棄したことや、国外追放にされたことは、ステファンにとっては幸運ともいえる巡り合わせだった。

フランソワーズにどうにかして力を借りたい、そう思った。


(彼女の力を借りれば、オリーヴを救えるかもしれない……!)


平静を装いつつフランソワーズに声をかける。

彼女の格好から、ここから出て行こうとしているのだとすぐに理解した。

これはステファンにとっては願ってもないチャンスだった。

フランソワーズは妹の話をすると、渋々ではあるがついてきてくれた。

もしかしたらオリーヴを救えるかもしれない。

そう思うと気分が高揚したのだが、共に馬車に乗った時から違和感を覚えた。


フランソワーズを前にした瞬間から、心臓が激しく動き出したような気がした。

冷や汗が滲む。まるで何かに怯えているようだと思った。

今にも乗っ取られてしまいそうな感覚。

フランソワーズの前で失態を晒すわけにはいかないと、必死に抑えていたが、我慢がきかなくなっていく。

ついに教会を探すも限界が訪れてしまうが、フランソワーズの力でステファンは救われたのだ。


それから馬車の中で話して、一緒に過ごしているうちに抑えていた気持ちが溢れ出していく。

彼女を笑顔にしたい。もっと名前を呼んでほしいと思ってしまう。


(もっと彼女のことが知りたい……)


フランソワーズの笑顔を守りたいと思った。


城に着くと父と母が待っていた。

早馬で連絡したため、フランソワーズがくるのを心待ちにしていたのだろう。

オリーヴの様子を見たフランソワーズは案内もしていないのに本が置いてある場所に向かった。

すると自分が自分ではなくなる感覚が抑えられなくなり、フランソワーズに剣を向けてしまう。


(……やめろ、フランソワーズを傷つけたくない!)


しかしフランソワーズは怖がることもなく、ステファンを真っ直ぐに見つめたまま。



「ステファン殿下、もう大丈夫ですわ」



そのフランソワーズの言葉に、暴れ出しそうな気持ちが落ち着いていく。

そのまま気絶するように眠りについたが、次に目が覚めた時には体が軽くなっていた。

それから傷だらけのノアとイザークに体を見るように言われて確認すると、全身を覆っていたはずの黒いアザが綺麗に消えていたのだ。


(フランソワーズのおかげ……なのか?)


ステファンはイザークとノアと共に城の中へと戻る。

出迎えてくれたのは、オリーヴと両親だった。

ベッドから起き上がれないほどに衰弱していたオリーヴが、顔色もよく人の支えなしに歩いている。

ステファンにとっては、夢でも見ているのかと思うほどに信じられない光景だった。



「オリーヴ!? 大丈夫なのか?」


「えぇ! 急に体が軽くなって……信じられない気分だわ」


「僕も同じだ。アザもすべてなくなった」



長年、苦しめられたものから解放されたのだ。

家族で抱き合いながら喜んでいた。



「本当に信じられない。フランソワーズはたった一人で悪魔を祓ってくれたのだな」



フランソワーズの名前を聞いた途端、父に掴み掛かるようにして問いかけた。



「──フランソワーズは!? 無事なのですか?」


「ステファン、落ち着け!」



フランソワーズは大丈夫なのか、そのことが頭を覆い尽くす。

彼女はまだあの部屋から出てくることはないそうだ。

ステファンはすぐにフランソワーズの元へと向かう。

固く閉ざされた扉を前に手を止めた。

フランソワーズに合図があるまで入るなと言われたそうだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ