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【2025.02.15 書籍発売】追放聖女は最強の救世主〜隣国王太子からの溺愛が止まりません〜【受賞しました  作者: やきいもほくほく
二章

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その間に、フランソワーズの金色の髪は二人の侍女によってオイルで整えられていく。

それだけでも幸せなのに、湯から出た後はマッサージを受けて、とろけそうなくらい気持ちがよかった。


フランソワーズが眠気に抗いながら幸せに浸っていると、目の前に出された蜂蜜入りのミルク。

カップを傾けて飲み込むと、甘い匂いが口内に広がっていく。

紅茶を飲み終わると、ベッドに戻るように促される。

一眠りするように勧められたフランソワーズは、感動しながらベッドに横になる。

侍女たちは頭を下げて、静かに部屋を去っていく。

一人、部屋に残されたフランソワーズは信じられない気分で瞬きを繰り返していた。


(今までこんなにゆっくりと休んだことがあったかしら……まるでお姫様ね)


フランソワーズは柔らかいベッドの中で目を閉じた。

   

それからフランソワーズが目を覚ましたタイミングで、すぐに運ばれてくる紅茶。

カーテンからは日が漏れている。まるで夢の中にでもいるかのようだ。

幸せに浸りながらボーっとしていると扉をノックする音と共にステファンが現れる。



「フランソワーズ、大丈夫か?」


「……はい。わたくし、あまりにも幸せな時間に放心状態ですわ」


「ははっ、それはよかったね」



そう言って彼は嬉しそうにしている。

ステファンが部屋に入った瞬間から、侍女たちが騒がしい。

彼の甘い笑顔に頬を赤らめている。

ステファンにとっては、いつものことなのか平然としている。

セドリックもここまでではなかったように思う。

それほどステファンがモテるということだろうか。


(今まで婚約者はいないと言っていたものね。でも呪いが解ければ、すぐにできそうだわ)


フランソワーズが頷いていると、彼はステファンに問いかけに答えていた。



「フランソワーズ、何か他にして欲しいことはあるだろうか?」


「大丈夫です。むしろ十分すぎるくらいですわ」


「……そうか。僕に何かできることがあれば言ってくれ」



フランソワーズがそう言うと、ステファンがそっと手を握る。

ゴツゴツしている手のひらは剣を握っていたからだろうか。



「フランソワーズの願いはなんでも叶えたいんだ」



フランソワーズが二人を苦しめる悪魔を祓ったので、感謝してくれているのだろう。

あまりの熱量に驚いてしまう。

シュバリタイア王国では聖女として宝玉の前で祈り続けていたが、最近は当たり前になりすぎて感謝もされなくなっていた。

だからこそ違和感を感じるのかもしれない。



「あの……そんな風にしていただかなくても、もう十分ですわ」


「もしかして何か気に入らないことがあっただろうか?」


「い、いえ! 贅沢できてありがたいのですが少々やりすぎではないでしょうか?」



フランソワーズの言葉にステファンはこれでもかと、目を見開いている。

シュバリタイア王国では宝玉を守るのは当然のことだった。

正直、ここまで感謝されている意味がフランソワーズにはわからない。



「フランソワーズ、君は僕たちを苦しめていた悪魔を祓ってくれたんだ」


「わたくし、そんな大したことはしておりません。あの程度の悪魔は……」



聖女だと当たり前に祓えるような気もしたのだが、フランソワーズは実際に他の聖女の力を見たことがないことを思い出す。

王妃には宝玉の抑え方を教わっていたが、フランソワーズ一人で大丈夫だということがわかると、一緒に祈ることもなくなってしまった。

それにステファンも聖女に頼んだことがあると言っていたが、この悪魔は祓えなかったと言っていた。


(わたくしは聖女としての力が強い方だとしても、マドレーヌには敵わないでしょうし……)


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ミルクなのか、紅茶なのか? 『 フランソワーズが眠気に抗いながら幸せに浸っていると、目の前に出された蜂蜜入りのミルク。 カップを傾けて飲み込むと、甘い匂いが口内に広がっていく。 紅茶を飲み終わると、ベ…
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