表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【2025.02.15 書籍発売】追放聖女は最強の救世主〜隣国王太子からの溺愛が止まりません〜【受賞しました  作者: やきいもほくほく
二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/69

20

「わ、わたくしは逃げようとしたわけではありませんわ!」


「……え?」


「こんな身なりでフェーブル国王陛下と王妃陛下の前に出るのはよくないかと思いまして……っ」



フランソワーズがそう言って、恥ずかしさから顔を覆う。

周囲の視線を集めていることがわかったからだ。

ステファンはフランソワーズの言葉を聞いて、ハッとしたような表情を見せた。

そしてフランソワーズをその場に下ろす。

フランソワーズの手を取ると眉を顰めたステファンはそっと視線を逸らす。



「すまない……僕の勘違いだ」


「いえ……」


「フランソワーズと離れたくなくて、つい身勝手な行動をとってしまった」



ステファンの言葉の意味が気になって見上げると、彼の頬はほんのりと色づいている。

彼のこの表情や言葉に勘違いしてしまいそうになり、フランソワーズは首をブンブンと横に振った。


(ま、まさか……そういう意味なわけないわよね!)


フランソワーズでなければオリーヴを救えないからだという意味だと言い聞かせていた。

ステファンと向き合ったままフランソワーズは黙り込む。


そんな様子を見ていたフェーブル国王や王妃は何かを感じとったのだろう。

顔を合わせて頷いた後にこちらに向かって歩いてくる。

人の気配を感じたフランソワーズはハッとして急いで髪を整えた。


(とりあえずどんな格好だとしても挨拶はしないと……!)


ワンピースのままカーテシーを披露する。

フランソワーズがどんな格好をしていたとしても洗練された仕草は周囲を圧倒させるには十分だった。

滲み出る美しさに目を奪われる中、フェーブル国王たちが前に出る。



「よく来てくれた。フランソワーズ嬢」


「このような格好で申し訳ございません。お会いできて光栄ですわ」


「事情はステファンから聞いている。大変だったな」


「恐れ入ります」



フランソワーズはそう言って頭を下げた。

フェーブル国王は複雑そうな表情でゆっくりと頷いている。

王妃もフランソワーズの格好を見てか、涙ぐんでいる。

ステファンがフランソワーズのことをどう伝えたのか詳しくはわからないが、大袈裟に伝えたに違いない。



「フランソワーズ、長旅で疲れていると思うのだが……その…………」



フェーブル国王は気まずそうに頬をかいていた。

隣にいる王妃は「休ませるべきよ。何日も旅してきたのだから!」とフェーブル国王に訴えかけるように言っている。



「しかしオリーヴが……!」


「わかっているけれど、フランソワーズに無理をさせるべきではないわ」



フェーブル国王や王妃は、オリーヴのことが心配なのだろう。

すぐにオリーヴの状態を診てほしいのだと理解したため、フランソワーズはオリーヴのところに向かうことを提案する。



「わたくしは大丈夫ですわ。すぐにオリーヴ王女殿下の元へ案内してください」


「だが、フランソワーズ……!」



ステファンは先ほどまで疲れて眠っていたフランソワーズを見ていたからか眉を顰めている。

心配してくれているのだとわかるが、ここに来るまでステファンはフランソワーズのペースに合わせてくれていたのだとわかっていた。

フランソワーズはステファンに視線を送りながら、首を横に振る。

フランソワーズの言葉にフェーブル国王と王妃は安心した表情を見せた。



「フランソワーズ、ありがとう」


「感謝する……!」



それにステファンの話を聞いて、早くオリーヴを悪魔の呪いから解き放ってあげたいと思っていた。

もちろんステファンもだ。

フランソワーズの聖女としての力で解呪できるのか不安が残るが、やってみたいと思っていた。


(ステファン殿下たちのために、わたくしにできることをしたい)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ