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【2025.02.15 書籍発売】追放聖女は最強の救世主〜隣国王太子からの溺愛が止まりません〜【受賞しました  作者: やきいもほくほく
一章

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1/69

01


「フランソワーズ・ベルナール、貴様との婚約は破棄させてもらう……!」

 


煌びやかな会場と豪華なシャンデリア。

人がひしめき合うパーティーの場で、シュバリタイア王国の王太子……セドリック・ノル・シュバリタイアの声が響く。

今日は彼の誕生日パーティーだ。

ブラウンの髪は艶やかで紫色の瞳はシュバリタリア王国特有のもの。

端正な顔立ちは令嬢たちからは人気があると聞いたことがある。


彼の隣には可愛らしい令嬢が立っていた。

それは婚約者であるセドリックに婚約破棄を受けているフランソワーズの義理の妹、マドレーヌだった。

マドレーヌはマゼンタとホワイトのとろみのある布地にリボンが施された可愛らしいドレスを纏っていた。

ライトグレーの髪はハーフアップで編み込まれている。

切り揃えられた前髪と、パッチリとした目は可愛らしい印象を受ける。

透けるようなピンク色の瞳を潤ませながら、セドリックを見つめていた。


(婚約者の義妹と二人きりで堂々と壇上に立つなんて……信じられないわ)


承認欲求が強い彼にとって、褒め上手で相手の懐に入るのがうまいマドレーヌの存在はたまらないのだろう。

彼女は一瞬でセドリックを虜にしてみせた。

細く白い腕はセドリックに遠慮なく絡みつき、その関係を浮き彫りにさせている。

豊満な胸を押し付けているように抱きついているマドレーヌ。

その行動は貴族社会においては、はしたない行動ではあるがそれに気づく様子はない。


(今回のパーティーか次のパーティーには動くかもしれないかと思っていたけれど……面白いくらいに予想が当たったわね)


マドレーヌの勝ち誇った表情はこちらにしか見えないようにしているのだろうか。

しかしフランソワーズだって、そんな陳腐な煽りに乗るほどバカではない。

ここで感情を出したら相手の思う壺だとわかっていた。

マドレーヌを無視してから、フランソワーズは淡々と問いかける。


──物語通りに。



「セドリック殿下、理由を聞かせていただいてもよろしいでしょうか?」


「はっ……理由など聞かなくてもわかるだろう!? 義妹のマドレーヌをしつこく虐げたらしいな。おおかたマドレーヌの強い聖女の力に嫉妬されてだろうが、その行動は次期王妃として相応しくないと言っているんだ」


「お言葉を返させていただきますが、わたくしにそのような記憶はございません」


「……嘘をつくな!」


「そうですよ! フランソワーズお姉様、今までのことを正直に話してくださいっ」



フランソワーズはマドレーヌを睨みつけた。

するとマドレーヌはわざとらしくビクリと肩を跳ねさせて、セドリックに擦り寄った。

潤んだ瞳でセドリックを見上げながら、助けを求めている。



「怖いです……助けてください。セドリック殿下」


「大丈夫だ。マドレーヌ」



セドリックはマドレーヌの肩に手を置いて、彼女を守るように抱き込んだ。

そんな二人のくだらない茶番劇を見つめながら、フランソワーズは思わずため息を吐く。



「はぁ……」


「やはりマドレーヌの言う通り、危険分子は処分しなければ。これ以上、彼女を傷つけるなら容赦はしないぞ」


「そうですか」



その後も何を言ってもまったく動揺する様子がないフランソワーズを見て、セドリックの顔には焦りが滲む。

マドレーヌも不可解な面持ちでこちらを見ていたが、フランソワーズは表情一つ動かさない。



「お前は自分のやったことが、どれだけマドレーヌを傷つけているのかわかっているのか!?」


「いいえ、覚えがありませんわ」


「……いい加減にしろっ! フランソワーズ、お前を国外に追放してやる!」



セドリックは叫ぶように言った。

事実、フランソワーズはマドレーヌを虐げてなどいない。

本来の物語ならばそうなるはずだった、というべきだろうか。



「わたくしがマドレーヌにそのようなことをする理由はございませんわ。それにわたくしは宝玉を抑えるために、祈りの間でずっと祈りを捧げておりました」


「──黙れっ! 何人ものベルナール公爵家の侍女や令嬢たちが証言している。言い逃れはできないぞ」


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