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気分屋の神様  作者: ショウマ
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第二十一話 正主人公と偽主人公

身支度をして、俺は教室を出ると誰かの視線が、いやそれはただの視線ではなく、しっかりした悪意のこもった視線であり、恨めしく睨まれていた。まあね、たしかにあれ(皮肉)は言いすぎた。けどね。善悪を判断するなら人に流されずしっかりとした目を持ってから、見てほしいな。なんて。まあ実際、俺の皮肉に勝るものなんてだれもいないしな。なんなら、そんな大会があったら優勝というか、もう殿堂入りするレベル。


そして俺は、その睨んでるそいつを睨み返しながら、教室をあとにした。

帰り際、「ただ容姿がいいだけで調子乗るなよ」って言われた気がするが、無視することにした。というか言われてると認識したら俺が病んじゃうから。


学校という気持ち悪い憎悪に満ちて閉塞感がある空間を出た俺は妙な脱力感に襲われていた。


「なんだかんだいっぱいあったもんな。」

そうつぶやくと、今日あったことを考えていた。

初めて経験したいじめ、初めて経験した暴力、初めて授業をサボった。っと人生でおそらく経験しない方がいいモノを今日は三連続経験した。


しかし、人間の脳は、単純なもので、あまりの怒りも憤りも盛夏の青風によってどっかに吹き飛ばされてしまう。夏なのに涼しく感じてしまうのは、やっぱり何も考えられないからだろう。風に飛ばされる人間も考えられない人間も、皆等しくそこに詰まってる密度もクソもないということだ。それは、俺が一番嫌いなはずだった人種であり、その中に今入ろうとしている自分の事が気持ち悪くて仕方がない。


それとそれらに堕ちることがないような彼女が、眩しくして、眩しすぎて、俺の存在なんてその眩しさで消えてしまいそうだった。それは、彼女の人気度の厚さと俺の人気度の浅さがはっきり示されているような気がした。


そんなことを考えてもどうにもならない事も承知しているし、言うならば、もう《《理解しすぎている》》。誰かを救うには、2つ方法があって、正規ルートで進む正主人公タイプもいれば、不正ルートで進む偽の主人公もいる。これは彼女が前者で俺が後者でしかない。


正規ルートに、しっかりした道があるはずならば、不正ルートにも紛いものながらにもちゃんとした道があるはずだ。



今の俺の進歩は道があるってわかったことだ。なにもそれだけではただの当たり前のことを言ってるだけだが今の俺にはそれだけで十分だった。





ルートがあるってことはエンド(物語のゴール)もあるってことだよな?






そんな事を考えながらうきうきして、スキップをしながら多少厨ニ病っぽい自分に恥ずかしさを覚え、自分の足を進めた。




翌日

今日も今日とて、俺が教室に入るなり、クラスメートからの舌打ち、陰口、蔑視や、そのたもろもろ雨のように降っていた。しかし、案外一人も悪くないようで、学校という汚く甘く、腐った空間という枠から外れてみると、案外その空間はいつもと違った雰囲気を着飾っていた。ただ、そんなに冷静にいられるとよく思われないようで、その空間からも誰かに引っ張られてしまう。どうすればいいんだよ。お前あれか空間と空間の狭間にいろって言うタイプのやつか。そこまで厨ニ病こじらせてないぞ。


「薫くんってぼっちなんだー。」

その腐った発言にクラスの大半が嗤う。


「はっはっは。ぼっちも案外いいもんだぞ。」

っと軽口を叩く。


「えー。普通にボッチって気持ち悪いんですけど、、。」


「それな。ってかわたしたちに気軽に喋らないでよ。か、かお。オタク。」

あっれれ、その発言だれかに言わされてんじゃねえ−のか?


完全に俺にターゲットが向いてよかったわ。もう智哉に矛先は向いてないようだな。ちょっと気になってその例の人物に視線を移すと、、彼と目があった。そして何処か気まずそうに彼は視線をそらした。被害者から、傍観者にレベルアップしたのは大きな進歩だと思う。

うんうんと俺は彼をいや自分を正当化しようと理屈をこねくりまわしていた。




翌日


「本当に気持ち悪いよね。ボッチって。何考えてるのかよくわからない。」


「エロいことでも考えてるんじゃない?」


「え、キモっ。」


お前らの体で自慰行為ができるほど腐ってはいない。



翌日

「ボッチって変な本読んでるみたいよ。ラノベっていうらしい」

調べてくれたんだー。優しいね。



「どんな本?」


「特殊な人が読むキモい小説らしいよ。」

……………………………。



「そうなの。まあ読みそうだよね。あのキモオタわ。」




翌日

「昨日言ってたラノベ?買ったんだけど、、、、、。」


「どうした?」


「思ってた以上に気持ち悪かった。【やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。】ってやつ。」


「タイトルからして変な人しか読まなそうな本だもんね。」





翌日


「ボッチ君。掃除代わりにやってよ。自分の心のお掃除も忘れないでね。」


「ボッチ君、宿題借りるね。」


「ボッチ君、あんまり近づかないてくれる。汚れるから。」


「怖い。何言ってるのかわからないんだけど。」



「ねえ?ボッチ君」



「おい。ボッチ。どこ行くんだ?」




翌日もさらに翌日もおんなじことのくりかえしで加害者側がほんとうに自分を潰しにかかろうとしていることが身に滲みて感じた。


そんな意図が読めるのに俺の心はどんどん傷ついていき、次第には壊れる寸前まで来た。帰宅後毎日毎日ベットで泣いている羽目になってしまった。結局、ラノベみたいにうまく行かないんだな。っと改めて思った。俺は「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」の八幡みたいななんでも解決しちゃう人でもないし、自己犠牲もなんもできない。


俺ガイルの世界より、やっぱり現実は厳しかった。


自分がそういう人にそういう人格者になりたかった。いつか誰にでも認められるような本物が欲しかった。その願いもその希望も日が進む事にどんどん薄れていきただのどうしようもない偽物になってしまった。自分ならできると勝手に理想を抱き、勝手に自分に期待して、

勝手に自分に失望して。こんなどうしようもない、俺はまだ、アニメのヒーローみたいに当然天啓が降りてきて、こんなゴミみたいな状況を打破できると考えている。


本当に気持ち悪い。自分が、、、。


俺の少年のきれいな純粋なこころはどんどん汚れていき今にでもその原型がなくなろうとしているほどもうグニョングニョンに曲げられてしまった。




やっぱり、正主人公になりたかった。




そして、次の日。

体調が悪いと嘘を付き、俺は人生始めての学校をサボった。












そして、午前9時。ベットにこもりながらただ時間がすぎるのをまっていると、





固く閉ざされた、とても既視感がある光景に襲われた。





それは、それらは、いや、《《彼女》》がその重く思い空間に入り込んだ。






2018年7月6日午前9時3分この日俺は改めて彼女を正主人公だと認識した。






























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