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覗き見、それは不正アクセス

「ダメです。ダメに決まっているでしょう」



 生徒会室に到着して早々、私とあやなで提案を話してみたが、スズ先輩は、腕を組み呆れ顔で言う。



「SNS覗き見って、そう簡単なことじゃないし、リスクも大きいの」


「えっと……一回やってるんだから、二回も三回も一緒じゃ……」


「一緒な訳ないでしょ!」



 あやなの言い分をピシャリと止めるスズ先輩。


 そして、ですよね~、と言わんばかりの私です。



「あの時だって、不審なアクセスがありました、って部長に通知が行って、パスワード変えたりしてたみたいで、部長本人にも迷惑かかったのよ!?」


「そ、そうだったんですか……」



 あやなは、シュンとする。



「そもそも私達は、私達の世界で部長を待つものであって、部長の世界に行って、なんで戻ってこないの~?、とか恨めしく見てる時点で、あなた達はキモいストーカーと一緒よ!」



 グサリグサリと、見えない何かが突き刺さる。あやなだけではなく、私にも。


 この説教マシンガンになったスズ先輩を止められる人は、そう何人もいない。


 同級生であるヒメノ先輩でさえ、尻込みする程の迫力なのである。



「あの~、スズさん、少し言い過ぎでは?」



 その数少ない止めに入ったのは、生徒会室の奥のパソコン席に座っていた、顧問の先生であった。


 先生は座っていたので、私とあやなの角度から見てとれなかったが、スズ先輩はわかっていたようで、くるりと先生に向き直る。



「でも先生、ダメなことはダメと言わないといけませんよ」


「若いうちは色々と挑戦をすることもいいことよ。あやなさんのその発想や着眼点も良いと先生は思ったわ」


「でもだめです。違法ですから。

いけないことは、してはいけません!」



 結局のところ、ダメなのだ、と理解しているあやなだったので、先生のフォローも本人には響いていないようだと、隣の私にも伝わってきた。



「スズさんはダメダメ星人なので、先生がアクセスしときました」


「……はい?」



 謎の空白の時間の後、スズ先輩はわなわなしだし、眉間に皺がよる。



「先生も部長のこと気になっちゃうし」


「セ・ン・セ・イ・?」


「はい、なんでしょう、スズさん」


「自分が何したかわかってます?

不正アクセスですよ! 不正!!」


「そうですね……

今この瞬間に、部長に通知が飛んでいるはず……」



 先生は私達をキッと真剣に見つめた。


 スズ先輩は、この先生のことをジトっと見つめる。


 周りに黒いオーラが見えた気がした。



「さぁ! あやなさん、ゆまさん!

時間はありませんよ!

早くこちらでSNSをチェックしましょう!」



 スズ先輩が、とんでもない狂気に満ちた表情をしていたが、あやなは私の手をひっぱりそこをすり抜け、先生のいるパソコンへと連れていく。


 先生は、口ではあんなことを言っていたが、手が震えているのを私は横目で見た。


 やはり先生であっても、スズ先輩が怖いのか、それとも悪いことをしてしまった罪悪感なのかは分からない。


 それから、部長のSNS画面を見るのであった。

○コンテストで出した原文は、アルファポリスにて

○加筆して今の形になったのは、カクヨムにて

先読みすることができます。


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