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7/20

サービス終了のお知らせです。


「部長、今日は大切なお知らせがあります」



 部室で顧問の先生が一礼します。



「この学園討伐部でありますが、

来年の20XX年3月31日(X)15時をもちまして、

サービスを終了させていただきます」


 先生は伏せ目がちで続けます。


「本日でリリース10周年。

そんな日にこんな報告をするのは、誠に心苦しいのですが、残りの時間もこの学園討伐部で楽しい生活を送ってください」


 マニュアル通りの笑顔を見せる先生。


「さて、10周年記念のイベント内容をドドンとお知らせしますね!」


「何言ってんだ、この先生」


「先生はセリフを読んでるだけなんだから、先生に文句言うのは筋違いよ」



 部室が使われているので、各々の更衣室でビデオ通話を現在使ってコミュニケーションをとっているメンバー達。


 映像付きの為、明らかにイライラしているヒメノ先輩となだめるスズ先輩、それを見て怯えている一年生ペアがいた。



「イベント内容って言っても、前のイベントの反復と復刻コスチュームとかばっかで、新しいの何もないじゃん」



 画面越しでブーイングをするヒメノ先輩。



「好きなコスチュームが一枚確実に手に入る~、とか」



 私が恐る恐る、イベントのいわゆる目玉を一つ口に出してみる。



「うちらの部長、コスなんてコンプしてるでしょ」



 そうでした、と私は何も言い返せなくうなだれる。



「好感度大幅アップアイテムも配布されるみたいだけど、私達は全員カンストしてるから、好感度で解放されるストーリーも全部見てるし……」


「なんだこんなもんか~って、部長ログアウトしなきゃいいですけど……」



 一年生組も溜め息をついてうなだれた。



「サービスが終了したら、私達、どうなるんでしょう……」



 のっぺらぼうのあやなが表情はわからないが、低いトーンで言う。



「電子の波にのまれて消える」


 メガネをくいっと持ち上げ、スズ先輩は答える。


「私達の存在というデータが消える。

もちろん学討自体も」


「そ、それって痛いんですか?」



 ハナコちゃんが悲鳴に近い声をあげた。



「わからない……それは経験者にしかわからないよ……

部長のいる世界で言う、あの世ってどんなとこ?、みたいなものよ、その問いは」



 私は胸の前に手をおいて口を開く。



「私達、死ぬんですね……」



 とても重い空気が流れたそんな時、通話の中に先生が現れた。



「ログアウトされたわ、部長」


「あたし、呼ばれなかった……」



 しゅんとして、パートナーであるセナちゃんがこぼした。



「お知らせを読んで帰ってしまわれました」


「そうですか……」



 重い空気のままである。



「明日から部長が来るかどうか、見物だわ~」



 大きく伸びをして、怒っているのかヒメノ先輩の通話が途切れた。



「ログアウトしたなら通話は終了ね、それじゃあ」



 ヒメノ先輩をなだめに行くのか、スズ先輩も離脱する。



「それじゃ、解散解散!」


「お疲れ様でした」



 一年生組と先生も追って消える。


 最後まで残ったのは、私達二年生組だった。



「ねぇ、ゆま。また屋上で話しない?」



 あやなは二人通話から直接の会話を申し出る。


 私は考えもせずに、その誘いを受けるのであった。

○コンテストで出した原文は、アルファポリスにて

○加筆して今の形になったのは、カクヨムにて

先読みすることができます。


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