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理不尽

理不尽(4)昭和のサラリーマン

作者: 舞夢

会社から帰って来たのは日付も変わった12時半。

寝ている女房子供を起こさぬよう、怒られぬようにと抜き足差し足。

水を飲もうと水道をひねるのも神経をすり減らす。

ぬるま湯になった風呂で、寒気を感じるけれど、ただ我慢。

トイレも起こすと我慢して、冷えた布団に潜り込むけれど、隣の女房はいびき放題で、結局4時まで眠れない。

それでも、うとうとしたら、5時半にはアメ横で買った価格千円のアラーム時計の音消し振動が、寝ぼけ頭を叩き起こす。

とにかく音を立てぬようにと布団から這い出して、振動ひとつないように布団をたたむ。

音は厳禁、起こしちゃならんと、そっと着替え、トイレにも行けず、家を出るのは6時前。

ゼイゼイしながら駅まで歩いて30分、周囲を見ると同じような奴ばかり。

「毎日毎日、こんな生活で」とぼやく声がするけれど、目指すのは改札と、電車が来たら座ること。

キオスクで牛乳とアンパンを買って、電車が来るまでに、無理やり流し込む。

「朝飯なんて言えないって、音を立てても怒鳴られるから」

ポロッと漏らしたってキオスクのおばちゃんは不愛想。

「ありがとうございました」の一声もなくて「はい、5円おつり」「次が待ってる、どいて」で、すでに邪魔者。



これが昭和のサラリーマン。

令和になれば、こんな昔の男の気持ちなど、誰もわかりやしない、知る人もない。

たとえ、父であろうと祖父であろうと、そんな気持ちは・・・言うだけ野暮か。


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