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異次元な読み物  作者: 猫のクーポン券
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長崎の都市伝説

これは長崎のとある駅のトイレの都市伝説なんです。


ある夏の深夜、バイト帰りのロン毛で茶髪のチャラい感じの男が電車待ちをしていた時、お腹が痛くなってトイレにかけこんだんです。


「腹いたくてトイレから出られねぇよ。あぁ、もう電車くるわ。ヤベェな。乗り遅れたらもう電車ないわ。マジヤベェ。」

男はそう呟きながら、用を足してました。


そんな時

「3番線電車が入ります。黄色の線の~」

とアナウンスが。


男は焦りました。

「しゃーねぇ。急いでトイレから出て電車のトイレへかけこむか。」

と思い、紙を取ろうと手を伸ばしたが紙がないのです。


「なんで紙ねぇんだよ。ケツ拭かずに出るとかありえねぇし。電車来てるし。マジヤベェ。」

と、男が焦っていると


コンコン…。


男が入っているトイレのドアをノックする音が。


男は一瞬ビクっとしましたが

「あ、紙ないか聞いてみようかなぁ…」

と考えながらも引っ込み思案の日本人。

なかなか言いだせず。


そうしていると

コンコン…

またもノックする音が。


男は

「あ、どうしよう。」

と、思いながらも勇気を出して

「あの。すみません。紙がないんです。そこらへんに紙ないですか?」

と尋ねてみました。


しかし、返事はなくシーンとしています。


男はおかしいなと思いながら

「すみません。紙ないですか?」

と、もう一度尋ねました。


しかし、またも返事はなくシーンとしています。


男が

「なんだよ。もういねぇのか?」

と思っていると


コンコン…

と、またもノックする音が。


「なんだよ!いるんじゃねぇか!ふざけてんのか!?嫌がらせか!?」

と、男は頭に来てドアをドン!と強く殴りつけました。


すると


「…紙…そこ。」


と、聞き取れないくらいの小さく声が。


男は「え?」と思いながら、自分の足元を見るとトイレットペーパーが。


「な!?いつの間に!?」

と男は驚きました。


「ちょっと待て。俺がトイレに入った時、他のドアは開いてたよな。誰もいなかったし、誰か来た様子もなかった。これはヤベェ…!このドアの向こうには絶対ヤベェのがいる!」

男は恐ろしさでガタガタ震えだし止まらなくなりました。


「このパターンは上を見たら絶対ヤベェのが覗いてる!怖ぇ!怖ぇ!」

と男はパニックになりながら震えていると


「ねぇ…。」

と、さっきの声が今度は上から。


「おいおい!やっぱり覗いてんよ!上にいんよ!絶対上に顔があんよ!頼むいなくなってくれ!南無阿弥陀仏!南無阿弥陀仏!」

と男は震えながらお経を唱え出すと


「ギャー!やめてポコー!成仏したくないポコー!」

という叫び声が上から


「え?ポコ…?」

と、不思議に思い男が思わず上を見ると


カワイイたぬきさんがこんにちは。

(*´▽`*)


たぬきさんがドアの上で苦しんでます。


「は!?たぬき!?」

と、男はびっくりしながらも

「たぬきなら怖くないな。驚かせやがって。こいつお経が効くんだな。よし仕返ししてやる。」

と、男はお経をさらに唱えました。


「南無阿弥陀仏。南無阿弥陀仏。」

男がお経を唱えると。


「やめてポコー!紙なくて困ってたからノックしたポコー!エーン!(ノд<。)゜。」

と、たぬきさん泣き出しちゃいました。


「なら何で喋んないで二回もノックしたんだよ!嫌がらせして楽しんでたんだろ!」

と男の怒りは治まりません。


すると

「紙置いたのに気付かないし…。喋ったらポコってなって笑われるし…。怖がらせてしまったから謝ろうと思って上から声かけたポコ…。ごめんポコ~。(ノд<。)゜。」

と、たぬきさんは泣きながら謝りました。


それを聞いて男は

「あ…。そうやったんや。あ~、こっちがごめんやわ。すまん。」

と謝ると


「驚かせたウチが悪いポコ…。勝手に紙とっちゃったウチが悪いポコ…。ごめんポコ…。(>_<)」

と、たぬきさん。


しかし

「いや、知らなかったとはいえ紙をくれた恩人にお経唱えた俺が悪いわ。こっちがごめん。」

と男は譲りません。


「ウチが悪いんだポコっ!ウチが謝るポコっ!ごめんポコっ!」

と、たぬきさんちょっぴりヒートアップ。


ところが

「わかんねぇタネ…タヌキだな!俺が悪いっつってんだろ!ごめん!」

と男も強情ぱり。


そうしたら

「ウチはタヌキですポコ~。タネキじゃないポコ~。」

と、たぬきさん揚げ足とり。


「んだとぉー!タネキなんか言ってねぇよ!俺がいつタネキなんか言ったんだよ!証拠はあんのか!?」

と男はちょっぴり赤面。


そこへすかさずたぬきさん

「ウンチつけたままのあなたに謝る資格はないポコ!このハゲ!ウンチマン!ウンチマン!」

と悪口を発動。



そうして男は

「紙ありがたく使わせてもらうわ。」

と、ようやくお尻を拭いた後、涙を拭きトイレから出ていきました。


たぬきさんはその後男に改めて謝罪をし勝ち誇った顔で消えていきました。


男は、かけこんだトイレから電車へとかけこみ直し、さらに電車のトイレへとかけこみさっきの事を思い出していました。


「さっきのタヌキはなんだったんだ?紙をとってくれたんだから悪いヤツじゃないんだよな?そういえば俺ちゃんとお礼言わずに、謝らせちゃったな。あいつに悪い事したかな。」

男がそんな事を思いながら用を済ませ席に座ると、前の席に座った乗客二人の話声が


「さっきの駅のトイレ…出るらしいぜ。」


「出るって幽霊か?」


「あぁ、なんでも変わった幽霊らしくて世話焼きな幽霊らしいぜ。」


「世話焼き?何だよそりゃ。あんまり恐ろしくねぇなぁ。世話好きな幽霊って良い幽霊ってことか?」


男はそれを聞いて

「あいつ有名なんだ。世話焼きって。確かにな。ハハハ。」と、なんだか有名人に会ったような、自分だけが知ってる秘密を知っているような気持ちになって嬉しくなっていた時


「確かに良い幽霊かもしれないんだけど…ただな。」


「ただなって、なんかあんのか?」


「その幽霊、世話焼きでトイレに入ってきたヤツが困っていると出てきて、紙がなければ紙をくれたり、悩みがあったら相談にのったりするんだよ。」


「良い幽霊じゃねーの。」


「ただな…タダじゃねーのよ。等価交換なわけ。何かを得る為には同等の物を出さなきゃなんねーらしいのよ。」


「ほぉ。なんか悪魔の取引きみたいだな。」


「違うよ。ハガレンさ。」

と、再び前の席の話が。


「俺、何も要求されてねぇぞ。まっ、しょせん噂話だな。噂には尾ヒレが付くって本当だな。フフフ。今度あいつにお礼しに行ってみるかな。」

と、男がニヤけながら窓に映る自分の姿に目をやると…



「髪が……髪が……畜生ォ 持って行かれた・・・・・・・・・・・・!!」


はい。

男は後日、あの駅のトイレに御礼参りに行きましたとさ。


長崎のとあるトイレでは、タヌキとハゲが夜な夜な争っているという都市伝説があるのです。


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